性分化疾患/インターセックス当事者の経験について、特に医療の介入が及ぼす影響について明らかにした。具体的には、社会学における逸脱論の観点、医療社会学における医療化と身体論の観点、ジェンダー論の観点から、医療による身体への介入の結果としての「逸脱増幅」が個人のライフコースに影響を与えていることを明らかにした。これまでの成果を書籍『介入と逸脱:インターセックスと薬害HIVの医療社会学』にまとめ出版した。 最終年度においては、引き続き新型コロナの感染状況により渡航することが叶わなかった。そのため、当初計画していた当事者グループのイベント等での参与観察と現地での聞き取り調査を行うことができなかった。しかしながら、インターネット上で開かれたオンラインミーティングをはじめ、学会に参加し、最新の当事者運動における動向を調査し、情報を収集することができた。また、2023年度から採択された新しい研究に引継いで調査を進めるために、オンライン上で新たな人脈を獲得することができた。特にこれまでコンタクトのなかった英国北部のインターセックス当事者や研究者とつながることができ、将来的に共同研究を行う可能性について話し合うことができた。
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