研究課題/領域番号 |
17K04187
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
木原 滋哉 呉工業高等専門学校, 人文社会系分野, 嘱託教授 (20259922)
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研究分担者 |
市橋 秀夫 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70282415)
大野 光明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (80718346)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ベトナム反戦運動 / 反戦米兵 / 反基地運動 / ベ平連 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本におけるベトナム反戦運動に関して、「べ平連」(「ベトナムに平和を!市民連合」)に焦点を当て、米軍岩国基地を中心として米軍基地に対する働きかけ、とりわけ反戦喫茶「ほびっと」を拠点にして、「べ平連」メンバー、反戦米兵、アメリカの反戦グループやアメリカ人弁護士がどのように協働してベトナム反戦活動をおこなったのか明らかにするものである。 まず、「ほびっと」や「べ平連」の関係者への聞き取りを実施し、それを通して新しい資料も発掘することがでいた。また、アメリカの反戦グループについては、アメリカでの資料の存在を確認し、その資料を通して、アメリカの反戦グループの活動内容を確認することができた。 反戦喫茶の設立という方法は、アメリカにおけるベトナム反戦運動から学んだ手法である。反戦喫茶は、アメリカにおいては、基地内の反戦米兵と基地外の市民運動を結びつける役割を果たしてきたが、岩国においては、さらに、アメリカの反戦グループと日本側の「べ平連」を結びつけるとともに、反戦活動を主導する「べ平連」メンバーと岩国市民を結びつける役割も果たした。 反戦喫茶の成立と運営は、米軍の規律に抵抗し市民権を要求する米軍兵士を支持に支援するという意味において、「市民的不服従」の実践であったと評価できる。一方では、米軍に対して、他方では日本の警察に対して、抵抗する実践であった。同時に、「ほびっと」に集まった岩国の若者にとっては、家族や職場に対して自分たちの生き方を問い直す場、言い換えれば「アセンブリー」として機能した。 反戦喫茶「ほびっと」は、1970年代初頭において、アメリカの軍事機構や日本の警察権力に抵抗し、同時に、若者たちが自分たちの生き方を再審する「空間」として機能した。
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