研究実績の概要 |
平成30年度は、配偶者の主観的健康観と本人の抑うつ症状の関連について、一般地域住民を対象とした横断研究デザインにて分析した。2013年10月から2016年3月に東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査(調査対象は宮城県在住で20歳以上の男女)に参加した者52,212名に家族関係調査票を配布し、同一世帯家族で調査に参加している者を同定した10,782人(5,391組)。同定した配偶者ペアのうち2017年4月11日現在で同意撤回が無く、自記式調査票への回答があった10,288人を解析対象とした。配偶者の主観的健康観は(とても良い/まあ良い/あまり良くない/良くない)のうち1つ選択した。本人の抑うつ症状は、CES-D(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)にて評価した。統計解析は多変量ロジスティック回帰分析を用い、配偶者の主観的健康観「良好群:とても良い/まあ良い」に対する「不良群:あまり良くない/良くない」について、本人の抑うつ症状有り(CES-Dスコア16点以上)のオッズ比(95%信頼区間)を算出した。調整項目は本人の性、年齢、教育歴、喫煙、飲酒、職業、家屋損壊の程度、BMI、歩行時間、慢性疾患既往歴とした。【結果】分析対象者10,288人のうち、抑うつ症状ありの者は2,422人(24%)であった。配偶者の主観的健康観「良好群」に対する「不良群」の本人の抑うつ症状有りのオッズ比は、1.2(1.03-1.3)と有意に高かった(p=0.02)。この関連は、本人が女性(オッズ比=1.3、p=0.03)、また、本人の年齢64歳以下の者(オッズ比=1.3、P<0.01)で両者の有意な関連が示された一般地域住民を対象とした横断研究により、配偶者の不良な主観的健康観と本人の抑うつ症状の関連が示された。
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