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2017 年度 実施状況報告書

精神障害やアディクションのある養育者とその子どもの支援に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K04193
研究機関筑波大学

研究代表者

森田 展彰  筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)

研究分担者 福丸 由佳  白梅学園大学, 子ども学部, 教授(移行) (10334567)
大谷 保和  筑波大学, 医学医療系, 助教 (10399470)
和田 一郎  花園大学, 社会福祉学部, 准教授 (10711939)
新井 清美  首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (50509700)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード精神障害のある親 / アディクションのある親 / 養育者支援 / 地域における連携
研究実績の概要

主に以下の2つの研究を行った。
・研究1児童養護施設事例の記録調査:児童養護施設に入所児童の記録のレトロスペクティブな研究を行った。1つの施設の74事例の記録を分析し、そのうち38事例の子どもの親ににおいて精神障害を有しており、16事例において依存症が関わっていた。多くの事例で、親の精神障害や依存症は親子関係の改善を阻害する要因になっていたが、親の治療機関と子どもの支援機関が連携した事例は数例程度と非常に限られており、連携した対応がもっと取られる必要があると考えられた。
・研究2:精神医療における調査)精神科で治療を受けている方で現在または過去に子育てを行った人90名について精神障害が養育に与えた影響やそれに対する支援の状況を調べた。困難にした症状を尋ねたところ、睡眠障害74%、感情コントロールの困難74%、考えがまとっまらない69%、不安焦燥66%、精神障害による経済的問題66%等が多い割合であった。養育態度を自己評価するFamily Diagnostic Testでは、養育不安や不介入が一般群より高く、厳しいしつけが低かった。子育てについて役立った支援は精神医療や配偶者などが比較的高い一方で、地域の子育て支援などの利用は非常に少なかった。支援を求める上での不安や、精神症状などで自分から支援を求める余裕を持ちにくいこと、援助者が精神障害の理解への不安などが支援を求めにくい理由になっていた。
・研究3;援助職に対する調査:児童福祉機関などで養育困難事例を扱っているスタッフに精神障害や依存症をもつ親への支援状況について意見を聞くとともにアンケートを行った。109名のスタッフがこの一年間に精神障害の親に関わった人は8割、依存症の親二関わった人は4割程度であった。支援で困ることは、専門知識不足、連携が必要と思うがつなぐ機関がわからない、時間的余裕がないこと等が挙げられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

精神医療機関での調査は順調にすすんでいるが、さらに事例数を集める必要がある。
児童福祉に関連する機関での調査は、児童養護施設での調査は進んでおり、また児童相談所のデータについては、使えるめどがたったが、まだ分析はこれからである。

今後の研究の推進方策

・精神医療機関で治療を行っている人のうちで現在の過去に子育てをした事例の研究は、より事例数を増やしていきたい。それにより、親子の年齢や精神障害の種類による違いや、支援の壁になっている要因などの分析を進めたい。
・児童を支援する機関における研究としては、児童相談所に通告された事例に関する調査研究のデータを2次分析する機会をいただいたので、虐待(謡い)事例において精神的な問題がどのように影響しているのか、どのようなサポートが必要かを検討したい。
・精神障害のある親とその子どもに対して、基本的な知識の提供や感情的な面の支援をする資料やプログラムを作成したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

家族に対するプログラムの作成をH30年度から本格的に取り掛かることになるので、プログラム担当する共同研究者の方を中心にそれにかかわるお金を残すことにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 家庭内の暴力に対するオープンダイアローグの応用2018

    • 著者名/発表者名
      森田展彰
    • 雑誌名

      精神科治療学

      巻: 33 ページ: 317-323

  • [雑誌論文] 児童相談所の精神科医の立場からみた児童虐待2017

    • 著者名/発表者名
      田崎みどり、森田展彰、田口めぐみ、渡辺由佳、陶山寧子
    • 雑誌名

      精神神経学雑誌

      巻: 119 ページ: 634-640

  • [雑誌論文] ドメスティックバイオレンス加害者の心理とこれに対する教育プログラム2017

    • 著者名/発表者名
      森田展彰
    • 雑誌名

      臨床精神医学

      巻: 46 ページ: 1117-1125

  • [雑誌論文] 依存症家族に対する子育て支援の現状と課題―関係者への質問紙調査から―2017

    • 著者名/発表者名
      梅野充、森田展彰、大谷保和、三井富美代、鳥山絵美、阿部幸枝、谷部陽子、角田三穂子、田中美歩、上岡楊江
    • 雑誌名

      日本アルコール・薬物学会雑誌

      巻: 52 ページ: 11-12

    • 査読あり
  • [学会発表] 家族支援の総合的アプローチ2018

    • 著者名/発表者名
      森田展彰、近藤あゆみ、高橋郁絵
    • 学会等名
      第一回関東甲信越アルコール関連問題学会
    • 招待講演
  • [図書] 児童虐待における援助―加害者と被害者への支援,外来精神科診療シリーズ partⅢ メンタルクリニックの果たすべき役割 精神医療からみた我が国の特徴と問題点、原田誠一編2017

    • 著者名/発表者名
      森田展彰
    • 総ページ数
      366
    • 出版者
      中山書店
    • ISBN
      978-4-52,1-74008-9

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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