研究課題/領域番号 |
17K04195
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
中川 敦 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (30609904)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 会話分析 / 遠距離介護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、少子高齢化が進行する日本社会で今後大きな課題となることが予測される遠距離介護において、高齢者本人の意思を尊重したケアを実現するために人々がどのような方法を用いているのかを解明することにある。そこで、2020年度においては、高齢者本人に対して直接行なわれる「高齢者本人への意向の伺い」と「高齢者本人の意向の代弁」いう現象の関連性についての会話分析を行った。その結果、そこで行なわれている提案への意味づけを、相手(福祉の支援者/離れて暮らす家族)に受け入れやすいかたちへと変化させるために、代弁のみならず、高齢者への意向の伺いが行なわれていることが明らかになった。また、代弁と同時に、親の意向について家庭内でどのような対応を行っているかも家族からケアマネジャーに伝えられる場合があることが明らかになった。そのことが、その次の位置においてケアマネジャーの側から、サービス調整を通じてどのような対応を行えるかを提示することを可能にしているのであった。この現象は、家族とケアマネジャーの双方がそれぞれの領域において責任を有している情報を提示しあうという規範的構造が利用されていることを示唆するものであった。なお、医療・福祉コミュニケーションの会話分析の先行研究の検討、および、会話分析の基礎研究の検討、分析力向上の技法の検討も行った。以上の成果の一部は、「2020年度EMCA研究会春の研究例会」において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に予定していた分析が一定の進展を見せたため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、高齢者が参加しての遠距離介護者とケアマネジャーのやりとりを中心にした調査・分析を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、当初予定していた、海外での会話分析ワークショップが中止となり、このための旅費が使用されなかったため。次年度はコロナ禍でも研究対応が可能な機器の整備を進める予定である。
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