研究課題/領域番号 |
17K04201
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
廣井 良典 京都大学, こころの未来研究センター, 教授 (80282440)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域福祉 / 幸福 / ポスト成長 / 幸福度指標 / 経済と倫理 |
研究実績の概要 |
これまでの福祉ないし福祉政策は、経済社会の一定以上の「拡大・成長」を前提としてきた面が大きく、経済が持続的に成長し、それに伴い税収も増え、それが福祉の財源として寄与することが想定されてきた。しかし日本を含む先進諸国は近年、構造的な低成長の中にあり、特に日本は他に先駆して本格的な人口減少社会に移行しつつある。こうした状況においては、経済がさほど拡大・成長しない成熟社会における福祉のありよう、すなわち「ポスト成長時代の福祉」を構想していく必要がある。本研究ではこうしたテーマを、「幸福」や「地域」、「経済」との関わりを含め、(1)政策・地域レベル、(2)経済主体レベル、(3)理念・社会構想レベルの3つの次元にそくして探究することを目的としている。。 初年度の29年度においては、研究計画の柱のうち1)「ポスト成長時代の福祉と幸福・地域・経済」をめぐる概念・分析枠組みの整理、2)政策・地域レベル:自治体における幸福度指標及び関連政策に関する調査・分析、3)経済主体レベル:「経済と倫理・福祉の再統合」に関する調査・分析を中心に研究を進めた。このうち(2)に関しては、幸福度指標の策定を先駆的に進めてきてい東京都荒川区や、幸福度指標ないし関連政策の展開を志向する基礎自治体のネットワークである「幸せリーグ」、また都道府県レベルにおいて幸福度指標策定及び関連政策の推進を図っている岩手県等に関する分析や実践的な連携を進めた。 今後はこれらの柱に関する理論面・実証面の双方にわたる深化を図るとともに、研究計画の柱である4)理念・社会構想レベル:ポスト成長時代の福祉の価値原理と社会構想での考察にも着手し、最終的な理論化、政策提言に接続させていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように研究テーマの目的に沿った調査研究が着実に進展している。研究計画のうち特に「2)政策・地域レベル:自治体における幸福度指標及び関連政策に関する調査・分析」が比較的先行しているが、他の柱も着実に進めるとともに各々の柱を総合化し、理論面での体系化と政策提言に関する作業に接続させていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 今年度の研究成果を踏まえながら、30年度は第一~第三の柱の調査研究を発展させるとともに、第四の柱での考察と接続させていく。31年度は以上の全体を総括しながら第四・第五の柱に軸足を移し、理論化、政策提言とともに全体のまとめを行っていきたい。
(次年度の研究費の使用計画) 上記のような事例研究に伴う出張旅費や専門的知見を有する者への謝金、関連文献の購入等が主要な支出項目となる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の調査を次年度に行うこととしたため。
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