これまでの福祉ないし福祉政策は、経済社会の一定以上の「拡大・成長」を前提としてきた面が大きく、経済が持続的に成長し、それに伴い税収も増え、それが福祉の財源として寄与することが想定されてきた。しかし今後は、経済がさほど拡大・成長しない成熟社会における福祉のありよう、すなわち「ポスト成長時代の福祉」を構想していく必要がある。本研究ではこうしたテーマを、「幸福」や「地域」、「経済」との関わりを含め、(1)政策・地域レベル、(2)経済主体レベル、(3)理念・社会構想レベルの3つの次元にそくして探究することを目的として研究を実施してきた。3年度目の平成31年度(令和元年度)において、最終段階での新型コロナウイルス感染症の発生により一部の予定が遅延せざるをえなかったため令和2年度にまで延長を行い、研究の柱の一つである政策提言に関連して、AIを活用した日本社会の未来に関するシミュレーションの試みを進めるとともに、伝統文化を活用した地域コミュニティの再生に関する「鎮守の森コミュニティセミナー」を実施するとともに動画収録し、ウェブ上での公開を行った。
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