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2020 年度 実施状況報告書

地域における中高年自殺予防システムの構築:地域福祉援助技術を用いた多層的予防介入

研究課題

研究課題/領域番号 17K04208
研究機関青森県立保健大学

研究代表者

坂下 智恵  青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (70404829)

研究分担者 大山 博史  青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (10340481)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード自殺予防 / 地域 / 多層的予防介入 / 中高年者
研究実績の概要

青森県内の中高年自殺死亡率の高い地域の一部では、うつ病スクリーニングを主軸とした自殺予防事業が実施されている。これらの事業は市町村が主導して展開しており、2020年度は7市町村を対象にスクリーニングによる介入の過程評価を行った。
これらの自殺予防事業において、共通した介入としては、(1)うつ・自殺に関する啓発・健康教育、(2)一般住民のうつ病スクリーニングと陽性者のフォローアップが行われていた。フォローアップの内訳としては、受診勧奨及び治療アドヒアランス向上のための助言の他、背景にある生活問題に対してケースワークが実施されていた。いずれも、スクリーニングの参加率や実施効率は一定の水準で確保されていた。
同事業における介入の構造を分析すると、全体的予防介入として啓発・健康教育と一般住民への自記式うつ病スクリーニングの提供、選択的予防介入として同スクリーニング陽性者への精査スクリーニング、および、個別的予防介入としてうつ状態有症者に対する助言とケースワークから構成されていた。また、二段階のスクリーニングよって把握されたうつ状態有症者がハイリスク者として把握され、脱落の少ない形で個別的に相談やケースワークによって一定期間フォローされていたことから、全体的/選択的/個別的予防介入が体系的に連結されていたことが特徴であった。
保健・医療・福祉の連携の下、上述した多層的予防介入の導入により、地域において一般住民の自殺予防対策を効率的に進めることが可能であった。今回の実施地区は郡部に限定されており、都市部での実施可能性についてはさらに検討を要する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に沿って、概ね当初の予定通り研究を実施した。研究対象となった自治体では、中高年者に対してうつ病スクリーニングとフォローアップおよび把握された生活問題に対するケースワークを行うことにより自殺対策を推進している。これらの自殺予防対策は、全体的/選択的/個別的予防介入の各層の体系的連結を伴う多層的予防介入の構造を有していることが確認された。

今後の研究の推進方策

引き続き、うつ病予防と生活問題へのケースワークを主たる戦略とした中高年者自殺予防事業の過程評価を行いながら、最終年度へ向けて、本プログラムの実績と自殺死亡率の変動との関連を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度予定した調査活動の規模が縮小されたため、次年度の研究費用に充てる。

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公開日: 2021-12-27  

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