研究課題/領域番号 |
17K04212
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
山本 惠子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (20309503)
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研究分担者 |
山本 隆 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (90200815)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 貧困 / 生活困窮 / 社会扶助 / 捕捉率 / 福祉権 |
研究実績の概要 |
2017年4月~2018年3月、毎月定例で、関西学院大学梅田キャンパスにおいて、貧困削減と捕捉率に関する日英比較研究に関する文献を検討した。特に貧困の概念については、アダム・スミスの経済理論、カール・マルクスの貧困・窮乏化論、ケインズの雇用理論、ピーター・タウンゼンドの相対的デプリベーション論、アマルティア・センのケイパビリティ論を議論した。 2017年10月14日に、英国の貧困に関する専門的知識を得る目的で、大阪市社会福祉協議会主催の下で、ジョセフ・ラウントリー財団(Joseph Rowntree Foundation)副所長の講演会「英国における子どもの貧困」を開催した。会場は関学梅田キャンパス。特にユニバーサル・クレジット(Universal Credits)の財政効果に関する知見を得られた。引き続き10月15日に、研究会「英国の社会保障改革」を開催した。会場は関学梅田キャンパス。特にミニマム・インカム・スタンダード(Minimum Income Standard)に関する知見を得られた。 日本の生活困窮者自立支援事業就労支援相談員に関する質的調査を実施した。調査対象者は兵庫県尼崎市就労支援相談員で、日時は2018年2月18日、場所は関学梅田キャンパス。相談員の専門性に関する知見を得られた。 比較研究として、アメリカ・ハワイ州の多問題家族の現状と彼らの生活保障を把握するために、ハワイ州立大学マノア校を拠点とした調査研究を実施した。さらにユニバーサル・ベーシック・インカム(Universal Basic Income)の導入決議案を提出したハワイ州議員へのヒアリングを予定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目である平成29年度は、英国の貧困と社会扶助に関する基本文献を検討し、新制度ユニバーサル・クレジットの調査研究を並行させて、日英の比較研究を進めることができた。また、英国の研究者との学術交流により日英の貧困削減と捕捉率に関する知見を多く得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、貧困削減と捕捉率に関する日英比較研究をさらに深めて、「貧困ガバナンス(Poverty Governance)」の視点から、国および地方自治体の貧困政策ネットワークを分析し、福祉権の実現を支援する民間団体の事業活動を把握する。夏には英国現地調査を実施し、秋にはデューモンフォート大学教授を招聘する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英国の治安悪化により現地調査を見合わせたことから、当初予算が抑えられたため、次年度使用額が生じた。あらためて現地調査や日英の研究者の講師謝金に予算を充てる予定である。
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