研究課題/領域番号 |
17K04215
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
山口 理恵子 福井県立大学, 看護福祉学部, 准教授 (90582263)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 成年後見制度利用促進基本計画 / 地域連携ネットワーク / 中核機関 / 本人情報シート / 個人情報保護法 / チーム支援 / 意思決定支援 / 日常生活自立支援事業 |
研究実績の概要 |
学会発表は2019年度は第33回日本地域福祉学会大会①「成年後見制度利用促進基本計画における法人後見の課題-申立と受任の関係を中心に-」、および第25回アジア太平洋ソーシャルワーク会議において②「Consideration of the role played by core institutions in the master plan to promote the adult guardianship system in Japan」において行った。 論文は③「本人情報シートにおける課題と展望」ならびに④「チーム支援による体制整備の意義と成年後見人等 」を発表した。 実践は自治体の委員として⑤坂井市中核機関委員会委員に就任するとともに、⑥福井市成年後見制度利用促進体制整備連携検討会における講師、アドバイザー対応を行った。また福井県社会福祉協議会に対する福井県の委託事業である⑦「福井県社会福祉協議会成年後見講座」実践編において講師を務め、⑧大分県社会福祉士会・大分県リーガルサポート・大分県市町村・市町村社協合同研修会「市町村のための成年後見制度利用促進実践セミナー実践的側面から関係機関の連携を考える」においてパネリストを務めた。2018年度に坂井市法人後見支援検討委員(委員長)に就任したが、2020年度より法人後見を開始するため、新たに⑨坂井市法人後見運営委員として就任した。また上記⑥は2020年度より新たに福井嶺北10市町村を対象範囲とした⑩「ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン成年後見制度利用促進事業に係る連携協議会」となるためこの運営委員に就任した。福井県社会福祉協議会 日常生活自立支援事業における契約締結審査会委員、NPO法人シビルブレイン(プロボノ型法人後見組織:大阪)理事も継続して就任しており、このような委員等を担うことで実践の声を吸収し、研究に対する有益な示唆を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年(2018年)度「今後の研究の推進方策」として「2019年4月に運用が開始される成年後見制度用診断書及び本人情報シートの運用に際し、①その書き手となる福祉関係者はどのような立場、所属であるべきなのか、②記載に際し必要な技能、研修はどうあるべきなのか、この2点を問題意識の中心としながらこの記載者と中核機関となる地域連携ネットワークの関係を検討、考察することを中心に研究を進める。」としていたが、これをテーマとした研究論文は「本人情報シートにおける課題と展望」は日本後見法学会誌「成年後見法研究17号」に掲載された。また同学会とも関連の深い実践誌である実践成年後見87号」(民事法研究会)に「チーム支援による体制整備の意義と成年後見人等」が掲載され、2本の研究論文を発表することができた。学会発表は2回(うち1回は国際会議)を行った。実践では成年後見制度利用促進法、利用促進基本計画に基づく中核機関等自治体、法人後見の委員他、専門職団体、社会福祉協議会の講師を受任し実践的研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本人情報シートにおける課題と展望について研究論文として一定の成果を出すことができた。一方、本論文で述べた課題や展望の実証は、中核機関等これから関与する実践の場において具体的検証を進めていく予定である。また研究課題の名称そのものである「鑑定率向上」についてはそれが推進されるべきなのか、あるいは本人情報シート他ソーシャルワークの視点に基づくアセスメントを行うことで鑑定のオルタネイティブとなることが望ましいのか、いまだ明確な答えを導き出せていない。 この課題の前提として、まず「成年後見制度における本人の行為能力を障害者権利条約との整合性からいかににとらえるべきか」を検討する必要があり、とりわけ「支援付きの行為能力」に対する評価が必要になる。これは本年度の研究対象とするとともに、次回の科研研究のテーマとして、より発展的に考究を進めていきたい。先の研究論文において言及した成年被後見人の同意能力、行為能力、財産管理能力に着目しながら、この能力と福祉的支援との関係を評価するとともに、地域連携ネットワークや中核機関において、本人の法的保護と支援の内容をより明確化するためのツール開発を行いたい。 また現行の専門職後見人(とりわけ福祉職)の実践上の課題でもある親族調査・戸籍法における課題にも取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
大分市へヒアリングとして旅費を使用する予定であったが、同市で実施されるシンポジウムに登壇者として招待されたため、先方より交通費の一部が支出された。
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