研究課題/領域番号 |
17K04216
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会福祉学
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
中尾 友紀 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (00410481)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 労働者年金保険 / 勤労者厚生保険 / 少額所得者 / 防貧 / 戦時労働政策 / 戦時経済政策 |
研究成果の概要 |
本研究では、1938年の厚生省保険院総務局企画課による年金構想を検証し、1939年7月に起草された「勤労者厚生保険制度要綱草案」を分析した。さらに、1938年の年金構想から1940年9月に立案された「労働者年金保険制度案要綱」までの適用対象の変容を分析した。用いた資料は、主に国策研究会の会報や報告書等である。その結果、日本の公的年金は、当初は世界恐慌で把握された社会問題の解決として少額所得者の防貧を目的としたこと、総力戦体制下では戦時労働政策及び戦時経済政策であることが主張されたが、企画課は結局、保険技術に忠実に恒久的に機能する公的年金を創設したことが明らかとなった。
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自由記述の分野 |
社会福祉学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の研究では、日本の公的年金は総力戦体制下で突如容易に創設されたとして、年金本来の役割が検討されることなく、戦時労働政策及び戦時経済政策だったことが主張されてきた。これに対して本研究では、国策研究会関係資料等から公的年金の創設に携わった厚生官僚らの言説を発見し、それらの一次資料を分析することで、当時検討された年金本来の役割を明らかにした研究となっている。 公的年金は経路依存性が高く、現在の制度に特徴的な規定の多くは創設時の制度設計に起源がある。したがって、本研究は、日本の公的年金が直面する現代的課題の構造的要因を明確化することにも貢献している。
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