研究成果の概要 |
本研究では, 地域で高齢精神障害者の生活支援を担う福祉職と医療職の連携を推進する, 実践モデルの構築を試みた。その結果, 以下を得た。 1) 福祉職には, 業種の別を超えた高齢精神障害者への内的な心構えや, エンドオブライフケアを介して共有される専門職意識とともに, 医療職とは異なる固有のアプローチが認められた。 2) 施設内で高齢者をケアする福祉職において, 適応的なフラストレーション反応の意義が示された。 3) 連携をジェネリックなソーシャルワークの構造内で把握する必要性が導かれた。 4) 近隣住民による認識や態度が, 高齢精神障害者の地域移行・地域定着に及ぼす影響にふれた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
在宅ケアを受ける高齢精神障害者が地域移行・地域定着支援の進捗によって増え, 福祉職と高齢精神障害者が接する機会は大きく広がった。そうしたなか, 医療職が中心になる病院という枠を超えた, 多様なメンタルヘルス上の地域課題への対応がソーシャルワーカー全体に求められていることを明らかにした。すなわち, 福祉職と医療職の関わりというスペシフィックな側面にとどまらず, 福祉職間の連携もまた問われている。さらに近隣住民の意識が, 多様化した社会的リスクにさらされる当事者として, 質的に変化してきている近況を導いた。
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