筆者は自分史分析による児童虐待予防について、地域の相談機関でも使用できるように「改良4T法」を考案。昨年度と今年度は、さらにより良い方法を探すため、4T法に関わった支援者から具体的な意見を聴取し、今後の指標にすることを目的とした。 対象者はこの一連の研究(2015~22年度実施)へ「支援者」として参加した人33人。調査方法としては8項目のアンケートと自由記述であり、留め置き方式で筆者が回収。RQとして、担当した事例のうち代表的な事例(1~3例)を取り上げ、①「それらがどのように変化していったか」、②「4T法で良かった点は何か」、③「全体を通じて4T法で改良する点は何か」を尋ねた。自由記述の分析方法としてはKJ法を用いた。実施時期は2021年9~10月と2022年3~5月の2回に分けて実施。 結果は29人から回答。年齢25~62歳、経験年数3~44年。所属は精神科診療所、家児室、児家センである。クライエントに「よい反応があった」のは29人と全員から回答を得たが、「対象者の選択が必要」についても全員が回答していた。自由記述での文章はコード化し、全部で94枚の「元ラベル」を得た。最終的に「効果があったところ」「実施に困難を覚えたところ」「世代間連鎖」「簡便な方法」「その他のヒント」に集約。 考察は、肯定的な意見が多かった。ただ、「対象者選択の困難」という意見は、「上司の判断が必要」も含めて全員が回答していた。これは前回と同じで、「うまくいく対象者とそうではない対象者」がおり、その「選択に注意が必要である」ということであった。上記のことから、4T法は「有用」だが、「使用法に制限が多い」ことがわかった。そして、「もっと簡便なやり方」もできるのではないかということを考えさせられた。クライエントに寄り添ったいくつかの「柔軟な対応」が必要である。
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