研究課題/領域番号 |
17K04232
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
宮坂 智哉 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (10404758)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自力避難困難者 / 避難 / 身体介助 / 高齢者施設 |
研究実績の概要 |
本研究は、認知症対応型グループホームや介護老人保健施設、特別養護老人ホームなどの高齢者施設で実施する火災避難訓練において、身体介助を伴う避難訓練を支援する「介助避難プログラム」を開発し、効果を検証する。「介助避難プログラム」は、A4 サイズ3 つ折りのリーフレットとし、火災を想定し入所者への安全を配慮した上で迅速な姿勢変換、移乗、移動などの「身体介助を伴う避難方法」をイラストで示す。PDCA サイクルに基づいた構成とし、施設スタッフが自主的に介助避難訓練の「準備」、「訓練」、「振り返り」、「見直し」を継続してできる構成とする。「介助避難プログラム」は、身体介助を伴う火災避難訓練をより実際的に実施することを促し、介助者を含めた入所者の避難能力向上に寄与することを目的とする。 1.介助避難方法の検討 被験者を設定した実験を実施した。被介助者役は介護ベッド上で仰臥位となり介助者役はベッド上仰臥位から端座位、立位介助(実験2)、ベッド上仰臥位から端座位、車椅子移乗(実験3)の介助動作を、日常の介助動作、避難を想定した介助行程を短縮した動作の2つの方法で実施し、それらの行程を動画で記録し、動作行程を相に分割してそれぞれの経過時間を集計した。結果から、ベッド上仰臥位から側臥位を経由せず端座位になる介助を行うことで介助時間を短縮させることが可能である.また女性における車椅子移乗介助では. 避難者の背部から胸部にかけて両上肢を回し立ち上がらせて移乗させる方法とる事で,介助動作時間の短縮を行うことが可能であることを見出した。 2.介助避難方法リーフレット作成案の検討 1.で得られた結果から、ベッド上仰臥位から端座位、端座位から車いす移乗の介助プロセスについて、介助避難方法のシーンを設定し、リーフレットの素案を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験結果・考察より、介助避難方法のリーフレット作成に必要な介助動作については見出した。介助動作のプロセスについて、画像ベースで準備をした。リーフレットの完成は31年度になるが、リーフレット化については速やかに実施可能であるとし、概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
上期は「介助避難プログラム」リーフレットの制作、完成をする。下期は認知症高齢者グループホーム、老人保健施設、特別養護老人ホームに対してフィールド評価を実施する。対象は29 年度に調査した施設とし、10 施設を目標とする。また研究協力負担を勘案して、1 施設あたり1 名の介助避難の実施とする。研究者は予め内容を説明した上で、施設担当者から介助避難の行程(ベッド上→車椅子移乗→車椅子移動→退避場所に座位など)を聞き、行程に応じた身体介助イラストを入れたリーフレットを渡す。施設担当者はリーフレットをもとに入所者(模擬入所者)避難の「準備」を実施、「訓練」を実施する。研究者は火災避難訓練の状況を調査する。施設担当者は訓練終了後に「振り返り」、「見直し」を実施する。施設担当者は「介助避難プログラム」の実施状況、効果の有無、改善事項などの評価を調査票に回答する。下期は評価結果を集計、考察し、プログラムの効果を検証する。避難介助動作で修正や改善が必要となった場合は身体介助動作を解析する追実験や調査を実施する。検証結果をもとに研究成果のまとめを実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験、調査などにかかる費用が見込みよりも少なく済んだ。次年度は、追加の実験、調査などが発生した場合に使用する予定である。
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