研究課題/領域番号 |
17K04239
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
于 洋 城西大学, 現代政策学部, 教授 (60386521)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者福祉 / 外国人介護人材 / 介護サービス / 海外のノウハウ / 年金制度 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、昨年度の引き続きで中国に進出している日系介護関連企業の事業展開、介護人材教育及び日本事業者との連携などを中心に研究活動を行っていくつもりだったが、新型コロナウイルスの感染拡大が続いているため、日本国内の研究出張が減り、中国への現地調査もすべてキャンセルとなった。 上記のような状況のなかで、令和3年度も文献研究を中心に進めてきた。外国人介護人材の教育と受入れのほかに、中国で展開している介護保険の試行についても調べた。中国の一部の地域で試行されている介護保険は日本と比べて、以下の3点の特徴がある。 1つ目は、60歳以上の「老年人」と80歳以上の「高齢老年人」に対する支援方法・内容の違いがある。特に「養老助残カード」の利用内容について、80歳以上の方は、60歳以上の方と同じ優遇措置(バス無料乗りなど)の他に、月100元を振り込んでおり、自由に使える。90歳以上500元、100歳以上800元となる。2つ目は、「養老驿站」=「デイケアステーション」の積極的導入である。しかも、運営主体のほとんどは規模の大きくない民間企業であることに注目すべきだ。雇用創出効果が出ている。政府による補助金の支給もポイントになる。3つ目は、介護人材への資金支援である。入職時の奨励金6万元、毎月の手当1500元(いずれも最高額)は日本と比べると突出している。 また、昨年度の継続であるが、高齢者に関係の深い年金制度について検討を続けた。成果としては、中国では『日本公共養老保険』(于洋・劉暁梅編著)を出版し、日本の公的年金の歴史、仕組み、問題点と改革の方向性について紹介した。日本国内では、「未完の年金制度改革」を『社会保障研究』(国立社会保障・人口問題研究所、第6巻第4号)に発表し、中国の年金制度の改革について検討した。 本年度の研究から以上の研究成果ができ、大変有意義である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画にしたがい、令和元年度を本研究の最終年度としていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、令和2年度を補助事業期間延長承認申請し、1年間の延長期間を得た。残念ながら、令和2年度も海外渡航が制限され、研究計画通りにできなくなったので、令和3年度も補助事業期間延長承認申請を行い、令和3年度も延長期間承認を得た。しかしながら、令和3年度も新型コロナウイルスの感染拡大が続いていたため、研究計画通りにならなかった。計画した研究調査や学会参加などほとんどできなかった。そのため、3度の補助事業期間延長承認申請を行い、令和4年度まで再延長承認を得た。研究人生のなかでの初めでの出来事であった。 上記の状況のなかで、オンラインミーティング方式で中国の研究協力者(東北財経大学の劉暁梅教授、浙江大学の何文烔教授、瀋陽師範大学の王海燕教授など)と意見交換をしたり、日本国内の研究会に参加したりしてきた。また、外国人介護人材の海外教育のあり方について、中国の養成機関の担当者や日本の介護事業者(株式会社リエイ)の担当者とオンラインミーティングをしながら、教材開発及び日本国内からの要求について意見交換した。リエイの経験に基づき、監修者として中国語の教材を編集しているところで、令和4年度中に出版する予定である。 基本的に、「研究実績の概要」に述べたように、文献研究が中心となり、残念ながら、本研究のまとめに至らなかった
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今後の研究の推進方策 |
令和元年1月末からの新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見えないなかで、本研究は3度の補助事業期間延長となったが、本当に申し訳なく思う。 令和4年度において、本来令和3年度までに行う予定だった研究計画を遂行したい。すなわち、これまで得た研究成果を日中両国の学者や事業者と意見を交換しながらさらに検証していく。具体的には、まずは中国において、「医療福祉混合型」や「小規模多機能」の介護サービスの提供方式が中国全土に拡大し定着できるかについて、中国の専門家と事業者に確認したい。次は、日中両国における介護人材教育と介護人材の交流について、両国にとってwin-winとなる体制構築のあり方を検討してみたい。上記事項の問題点の解決策を考慮に入れた政策論を展開していきたい。 最終年度はこれまでの文献分析及び調査結果に基づき、研究成果をまとめ、論文の執筆と最終報告書に専念する。 研究費については、資料収集・現地調査の費用、文献研究や学会・研究会での報告・討論のための費用がかかると予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大が続いていたため、研究計画通りにならなかった。そのため、次年度使用額が生じってしまった。 3度目の補助事業期間延長となったが、令和4年度を最終年度として、当該補助金を適切に使用したいと考えている。
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