研究課題/領域番号 |
17K04244
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
廣實 真弓 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (90609645)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | てんかん / 遠隔リハビリ / 就労支援 / 高次脳機能障害 / 認知コミュニケーション障害 |
研究実績の概要 |
就労中のてんかん患者98名および就労希望のてんかん患者83名、健常対照群43名を対象にアンケートを行い、てんかん患者がどのような高次脳機能障害の症状に困り、また対面リハビリや遠隔リハビリについてどのような希望を持っているか調査し、就労支援のニーズについて検討した。以上の内容を第52回てんかん学会、第22回日本遠隔医療学会、第42回日本高次脳機能障害学会にて発表した。 またアンケートの中で困っている症状に挙げられていた喚語困難(言葉を思い出すことが困難)という症状のリハビリを就労中の患者でも、仕事を休むことなく実施するための方法を検討し、スマートフォンを用いてリハビリを実施したところ効果が得られた。以上のことについては論文を投稿する準備をしている。また、遠隔リハビリを実施する際には心理的側面への配慮が必要な患者がいるため、遠隔リハになじむ十分な練習の必要性があることを症例報告として第19回日本言語聴覚学会で報告した。 高次脳機能障害による認知コミュニケーション障害は社会生活に影響を与えるにもかかわらず、これまで国内にはスクリーニングシートが存在していなかったため、Cognitive Communication Checklist After Brain Injury (MacDonald, 2015)の日本語版を翻訳し、公開した。日本語版を用いててんかん臨床において多職種間の情報共有に活用できないか予備研究を行ったところ、有効性が確認されたため、現在学術誌に論文を投稿するために準備をしている。さらに本チェックリストのアプリを制作し、遠隔リハビリへの活用を検討するための準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
就労中および就労希望のてんかん患者の症状の自覚とリハビリへの希望について調査を行ったことにより、対面リハビリや遠隔リハビリが必要とされる症状が明確になり、また就労支援のためのニーズが明らかになった。その結果に基づき、仕事を休まずにも実施可能なリハビリを検討したところ、患者の内的動機づけを持続させながらリハビリを実施することができ、また効果も検証できた。 さらに、カナダで開発された高次脳機能障害によるコミュニケーション障害のスクリーニングシートの翻訳権を譲渡されたことにより、今まで実施不可能だった問題の検出が可能になった。このシートがてんかん臨床でも有用であることが示されために、予定していなかったアプリの開発の段階まで研究を進めることが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、就労支援のためのリハビリの効果の検証を実施する予定である。また、認知コミュニケーションチェックリスト日本語版のアプリを制作し、その有用性についても検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の発表のため旅費が必要になった。
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