研究実績の概要 |
杏林大学の倫理委員会にて研究許可を取得後、多摩地区の医療機関へ研究協力を依頼し一般市民群、患者群、医療従事者の3層に対して質問紙調査を行った。40歳以上の健診受診者723人において、何らかの下部尿路症状を有すると回答したものは、女性では88人(31.2%)であり、男性95人(21.5%)よりも有意に高かった(p<0.05)。また女性で臓器脱症状を訴えるものは111人(39.4%)存在した。何らかの下部尿路症状によって困窮を訴えるのは男女とも約20%と同等であったが、女性の方が男性よりも医療機関を受診している率は有意に低く(女性:2.5%vs 男性:10.5%)(p<0.05)、また医療機関を受診したいと希望する率は有意に高かった(女性:59.2 %vs 男性:48.5%)(p<0.05)。女性は男性よりも医療機関への受診のしにくさが浮き彫りになった。 また、中高年における生活意識と尿失禁の症状を明らかにするために、調査会社の登録モニターを対象にインターネット調査を実施した。東京23区内居住の40,50,60,70代の男女,各75名ずつ計600名を対象とし、デモグラフィック特性、妊娠中・出産後の尿漏れの有無(出産経験女性のみ)、国際前立腺症状スコア(IPSS) 、過活動膀胱症状質問票(OABSS) 、,国際尿失禁会議質問票(ICIQ-SF) 、受診意図、尿漏れの受診経験・受診意図、ジンバルドー時間的展望質問紙等、を用いた。40歳以上男女の3割程度が何らかの尿漏れを経験しており、多少の困難を抱えていたが、受診経験がある人はほとんどいなかった。しかし、症状がひどくなった場合には受診する意図があると答えた人は2~4割であった。インターネット調査も基本的に質問紙調査と同じ結論に至っている。 インターネット調査は当初の予想よりも短期に終了できた等、研究分担者の協力により順調に進展した。
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