研究課題/領域番号 |
17K04252
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
西下 彰俊 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (80156067)
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研究分担者 |
安達 正嗣 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (20231938)
宣 賢奎 共栄大学, 国際経営学部, 教授 (90382796)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高齢者 / 虐待 / 韓国 / 台湾 / スウェーデン / 社会サービス法 / IVO |
研究実績の概要 |
韓国について。ソウルにある中央老人保護機関において、韓国の高齢者虐待の動向を調査した結果、心理的虐待が最も多いことが明らかになった。なお、厚生労働省が毎年公表している日本の高齢者虐待調査結果によれば、日本では身体的虐待が最も多い。両国間の大きな違いが生じる背景要因については、今後とも追跡して分析を行っていく。馬山にある慶南老人保護機関において、保護機関の職員が高齢者虐待であるかどうか判定する際に準拠するガイドラインについてインタビュー調査を行った。その結果、日本の虐待判定のガイドラインと韓国のそれが、質的に異なる可能性が示唆された。その点は、継続して調査を行っていく。台湾について。家庭暴力防治センター内の成人組が高齢者虐待への対応機関である。台湾の高齢者虐待の分類は日本や韓国と異なっているので、純粋な比較が難しい状況である。虐待数としては、日本や韓国同様、在宅の場合も介護施設の場合も年を追うごとに増加している。 スウェーデンについて。高齢者に関しては、在宅の高齢者虐待を、スウェーデン政府はサーラ条項(社会サービス法)の対象とせず、介護施設職員の虐待のみを対象としている。社会サービス法の対象とならない自宅での配偶者や成人した子どもによる虐待は、直ちに警察事案となり犯罪として処罰の対象となる。また、スウェーデンでは、介護職員による高齢者虐待や障害者グループホームの職員による虐待や保育所での職員による児童虐待など社会サービス法の対象となる分野全てでの虐待が疑われるケースは、全てIVO(社会サービス及び保健福祉監査局)に通報され、IVOの調査の結果、虐待であるか否かが判定される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
夏休みや年末を中心に2018年度の研究課題を韓国、台湾、スウェーデンにおいて、計画的に実施することができた。2019年度も夏休みや年末を中心に海外調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
韓国、台湾、スウェーデン、日本の4か国について、高齢者虐待防止に向けての法的基盤の有無を調べ、法的基盤が整備されている国に関しては、虐待防止の法的効力の程度に関して、今後重点的に調査研究する計画である。また、間接的に関連する法律の存立状況も調査研究を行う。あわせて、人が人を虐待する心理社会的メカニズムの解明とアンガーマネージメントの可能性について、アメリカやヨーロッパを中心とする研究者の知見について整理する。高齢者虐待の場合、虐待被害者が認知症に罹患している割合が日本では高いが、韓国では低い。両国の差を分析することも大きな研究課題である。台湾、スウェーデンに関しては、認知症と虐待被害の関連性に関するデータは見られない。関係機関へのインタビュー調査を通じて明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費を使用して行う予定であった課題が未完成だったため未執行となった。現在高齢者の課題が準備できているので執行する予定である。
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