研究課題/領域番号 |
17K04255
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
林 浩康 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70254571)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ラップアランド / 子ども家族専門職会議 / 当事者参画 / fミリートリートメントコート |
研究実績の概要 |
アメリカのワシントン州およびオレゴン州におけるラップアラウンド方式の運用実態やファミリートリートメントコートなどに関する情報収集を目的に、シアトル、オリンピア、ポートランドにある民間サービス機関や裁判所、州主管課等を訪問し、インタビュー調査を行った。ラップアラウンドについては、活用ターゲットが州により異なり、オレゴン州では精神的課題をもち、4カ所以上の里親家庭を経験した青年をターゲットに活用されていた。その過程でユースパートナー(元社会的養護経験者)がアドボケイトとして配属され、ミーティング(child and family team meeting)が継続的に開催され青年はユースパートナーと共にミーティングに参画する。こうした当事者を専門職として活用することや、青年の家族も参画したミーティングは非常に効果的であるとされている。日本においてもこうした視点を具体化した取組を社会的養護においても活用することが必要であることを再認識した。 ファミリートリートメントコートは主に薬物やアルコール依存を要因とした親子分離を経験している保護者の継続したケアを目的に設置され、ワシントン州では子どもの措置を決定する少年裁判所から分離された形で設置されている。1週間に1度通い自身の支援状況を判事に報告することで、ケア継続の動機付けを高めることができ、親子が共に暮らせることを促進すると評価されている。保護者にはペアレント・パートナー(以前子どもとの分離を経験した保護者)が配属され、側面的に支援を行っている。コートは保護者自身が裁判の過程や専門職との関係形成のあり方などを学ぶ機会の提供や子どもを取り戻すことができた祝会の開催など、保護者をエンパワーする取り組みもペアレント・パートナーが中心となって行っている。 こうした実践は日本における保護者支援においても有効であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アメリカ訪問を通して大きな示唆が得られ、今後の研究の弾みとなった。予定していた先行研究レビューが十分でなかった。
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今後の研究の推進方策 |
日本における里親委託推進に向けフォスタリング機関の今後の活用のあり方を現場職員とともに検討する。また海外における民間のフォスタリング機関の状況把握に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内旅費の支出が予算計画を下回ったことなどから多少の残額が出た。次年度海外視察や国内旅費に充当する。
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