研究課題/領域番号 |
17K04255
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
林 浩康 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70254571)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乳幼児の里親委託 / 不妊治療 / 養子縁組・里親 / 情報提供 |
研究実績の概要 |
大きく2つの調査研究に着手した。 一つは乳幼児の里親委託の推進に向けた各都道府県及び児童相談所設置市の取り組みに関する調査研究である。本調査研究では、各児童相談所等の里親委託に向けた職員体制や支援体制、乳幼児の里親委託推進に向けた取り組み、里親家庭における社会的支援サービスの利用状況などを明らかにした。子どもを委託中の里親家庭へのフォローや保育所・レスパイトケアの利用などについて、地域間で実施状況に大きなバラつきがあることが確認された。また、回答した児童相談所の約半数でリクルート、里親の相互交流(ピアサポート)の促進、未委託里親への支援といった業務を外部委託している程度であり、現段階でフォスタリング業務を包括的に外部機関へ委託している地域は少数にとどまっていること等が明らかとなった。 二つ目に、里親・特別養子縁組の情報提供に関する不妊治療経験者、医療専門職(医師・カウンセラー)、里親・特別養子縁組関係機関(児童相談所・自治体の主管課・民間養子縁組あっせん機関)の運営者や職員の意識を明確化することことを目的とした聞き取り調査である。調査結果から、①不妊治療機関は治療開始前あるいは治療初期段階で里親・養子縁組に関する情報を提供すること、②患者によって情報を必要とするタイミングは異なるため、情報の濃度を変えて複数回提供することが望ましい、③具体的な情報提供や説明会のあり方については、児童相談所やその主管課、民間養子縁組あっせん機関などと検討し、連携・協働する必要がある、④不妊治療を経て子どもを授かった養親当事者の方の話を聴く機会や、そうした家族と交流する機会を提供すること、⑤カウンセリングの提供により、夫婦の意識共有を促す必要性などが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
・海外における状況について、インターネットからの情報では得られない近年の里親・養子縁組委託推進に向けた取り組みに関して把握できていない。
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今後の研究の推進方策 |
当事者(里親・養親・里親家庭や養子縁組家庭で育った経験者)などを対象とした聞き取り調査及び児童相談所や支援機関等の職員への聞き取り調査を行い、今後の委託推進に向けた取り組みのあり方に関する提言を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】海外渡航を中止したから。 【使用計画】最終報告書として印刷・発行を予定している。その他インタビュー調査への謝礼金、海外渡航費としての支出を予定している。
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