研究課題/領域番号 |
17K04257
|
研究機関 | ルーテル学院大学 |
研究代表者 |
加藤 純 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 教授 (80247105)
|
研究分担者 |
浅野 貴博 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 講師 (40781084)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 社会福祉 / 児童養護施設 / 家庭支援専門相談員 / プロフェッショナル・ラーニング / リスク・マネージメント |
研究実績の概要 |
児童養護施設では、入所している子どもと家族の関係の再形成を支援する職員として家庭支援専門相談員が2004年度から配置されている。本研究は、家庭支援専門相談員が支援に必要な知識や技術を習得するための研修の効果を検証する。 研修には講師が知識や技術を伝授するトップダウン式の学習と、参加者が主体的に参加して知識や技術を高め合うボトムアップ式の学習がある。トップダウン式の研修の例として、本研究では、子どもと家族の交流や家庭復帰などを進める際に利用可能なリスク・マネージメント・モデルについて理論的背景やモデルの使用方法を学ぶ研修の効果を検証する。ボトムアップ式の研修の例としては、A県で2014年度から年5回から6回の頻度で開催されている家庭支援専門相談員部会の活動の効果を検証する。 2018年度は、A県の家庭支援専門相談員部会の会合に陪席し参与観察をした。また、部会のメンバーを3名から4名ずつグループに分けてグループ・インタビュー調査を実施した。部会では、自分たちが必要としている知識や技術を学べるように活動内容を計画し、随時、新しい企画を加えるなど内容を改善していた。各自の実践を伝え合い、自分の施設に役立つと思う情報や方法を施設に持ち帰り、所属施設の状況に合わせてアレンジして取り入れていた。所属施設の方針や組織体制などによって、家庭支援専門相談員の立場や役割は異なるが、類似性のある参加者を見習うモデルとして必要な知識や技術・考え方をより効率的に習得している参加者も居た。A県の部会活動が継続し、成果を施設の実践に活かせている背景として、所属施設の理解と県児童養護施設協議会のバックアップがあることが推測された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
A県児童養護施設部会でのボトムアップ式の研修に関するデータ収集は順調に進んだが、リスク・マネージメント・モデルの研修効果に関するデータ収集が滞った。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の主眼は、リスク・マネージメント・モデルに関する研修会が専門性向上に及ぼす効果である。今後、職員が主体となったボトムアップによる学習と、トップダウンになりがちな研修をどのように組み合わせたら良いかという観点も含めて、専門性形成の過程について検討する。 特に、A県の家庭支援専門相談員部会の各参加者が必要とする知識や技術を学び、施設での実践に活かしている過程をさらに明らかにすることで、トップダウン式の研修で得られた知識や技術を施設の実践に持ち帰り活用してもらえるために、どのような工夫が必要かを検討したい。 具体的には、引き続き、A県の家庭支援専門相談員部会の活動への参与観察を継続する。参加者に個別のインタビューをする。また、部会の上部組織である施設長部会の代表者などにインタビューをする。 第二に、2014(平成26)から2016(平成28)年度の科学研究費助成事業によりリスク・マネージメント・モデル作成のために開催した研修会参加者を対象に、研修で学んだ知識や技術をどのように活用しているかインタビューをする。 2019年度は3年の研究期間の最終年度に当たるので、研究成果を発表する。一つには、A県児童養護施設協議会や関係機関の職員を対象に報告会を開催する。また、リスク・マネージメント・モデルに関する研究報告書を発行する他、リスク・マネージメント・モデルに関する情報をウェブサイトにも公表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画策定時に予定していた独自の研修会の開催をする代わりに、すでに継続的に実施されている研修会への陪席をしたために、研修会開催費用を支出しなかった。 今後、リスク・マネージメント・モデルに関する研修テキストの印刷の他、ウェブサイト上に、リスク・アセスメント・モデルの利用に関する情報の提供を検討する。
|