研究課題/領域番号 |
17K04260
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
原田 晃樹 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (20340416)
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研究分担者 |
松井 真理子 四日市大学, 総合政策学部, 教授 (30340409)
藤井 敦史 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (60292190)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 専門職 / 委託 / 自治体 / 非営利組織 / 相互扶助 / 社会的価値 / 地域運営組織 |
研究実績の概要 |
令和3年度においては、新型コロナウィルス感染の影響で海外渡航ができなかったため、引き続き文献調査を中心に行い、一部国内調査も行った。 第一に、保健師や建築技師など、自治体の第一線で執務する専門職にインタビューを行った。自治体職員は、法令に基づく統一的な対応が求められる一方で、現場のニーズに合わせブトムアップの対応が求められる。この際、自治体の専門職は、一定の専門的知見を有し、専門職としての職業上の倫理観も有しているため、一般職よりも現場が抱える問題への対応能力が高いことがうかがえた。ただし、その専門性は、自治体の組織編制や人事政策などによって変容しており、規制緩和や業務の外部化の推進に伴い、行政組織内部で専門職のスキルを伝承する機会も失われていることが明らかになった。 第二に、全国の高齢者等の「居場所」として機能している地域運営組織、高齢者サロン、地域食堂等を視察した。自治体や社会福祉協議会は、子ども、高齢者、障害者などの居場所づくりに取り組んでいるが、往々にして支援する者とされる者という一方方向の支援になり、縦割りの支援に陥りがちである。これに対し、住民主体で運営している組織の場合、活動形態に関わらず相互扶助の関係が確認できた。地域運営協議会などでは、ここからコミュニティビジネスが生まれるなど、連帯的な取引関係が事業活動を支えている実態もみられた。こうした組織は、贈与的な資源と市場的な取引を行いつつも、その基盤は公的資源(委託・補助・公共施設)によって支えられていたが、近年、こうした資金が競争的資金に切り替わったり、金額を大幅に削減されたりする傾向がみられる。相互扶助の関係やそれを前提とした事業活動に対し、どのような評価ができるかということについて、引き続き調査研究していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染の影響により、本来渡英して調査すべき事項が積み残されている。ただ、その代わり国内の実態調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査の代替として文献調査に力を入れるともに、国内調査を実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では英国の自治体や非営利組織を訪問することが目的の一つであったが、新型コロナウィルス感染の影響により渡英できなかったことが主な理由である。英国調査については文献調査に切り替え、英国の取組と比較できる国内調査も行いたい。また、調査に必要なOA機器の購入にも充てたい。
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