研究課題/領域番号 |
17K04265
|
研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
澁谷 昌史 関東学院大学, 社会学部, 教授 (80460145)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 児童虐待 / 予防 / 市町村 / 連携 |
研究実績の概要 |
普遍的で予防的な指向性を持つ子育て世代包括支援センターの拡充や、市町村子ども家庭総合支援拠点の普及を求める施策動向は、地域における予防的取組への関心を刺激している。その意味で研究課題の意義はますます増しているのだが、調査協力自治体が施策へのキャッチアップに追われている現状があり、今年度前半期のうちに、調査協力自治体との話し合いの中で調査実施時期をずらすこととした。 こうした経過を受け、2017年度は児童虐待予防施策の動向を長期的視点から整理しなおすとともに、児童虐待予防に関して研究が進んでいると思われる特定妊婦とのソーシャルワークに注目し、scoping review strategyを援用して、その研究状況を明らかにした。 その結果、妊娠期からの予防的実践の機会は十分に確保されているとは言い難いものの、それでもなお医療機関における実践報告から、医師や看護師等、クライエントに直接サーヴィス提供を行う職種が経済問題等に気付き、そこからワーカーへのリファーがなされていること、ワーカーはクライエントへの直接的支援とあわせて、ときに周囲を混乱させるような振る舞いをするクライエントをも包摂するような社会関係の構築を行うことが読み取れた。 以上の研究成果に基づき、予防研究においては潜在的クライエントに接触する人物のピヴォタルな役割が、ますます重要になると考えられる。もちろんそれは、本研究がもともと焦点化していた学校あるいは学区をフィールドとする予防的実践においても同様であろう。したがって、学校教員等のポピュレーション・アプローチの担い手の福祉的理解や感度を高めること、そこから機関連携を含むハイリスク・アプローチへの移行を図ることに関心を持ち、研究計画の一部修正を行っていくことが適当だといえる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも記した通り、研究課題の性質上、施策の見直しの推移を見守る必要があったため。実査を行うことについては、調査協力都道府県への説明を終えている。自治体で実施する研修を担当するなど、当初の手法とは異なる機会を用いて調査対象となるエリアの実態把握も進めている。以上のことから、当初の計画にあった実査を行うには至っていないものの、研究目的の達成そのものを悲観するような状況にはない。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度中に実査を行い、市町村における児童虐待予防の現状と課題について把握をし、調査報告を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実査の遅延による。 2018年度には実査を行い、そのために研究費を支出する。
|