2020年度は、2019年度より実施した放課後児童クラブ(以下、クラブ)代表者へのインタビュー調査結果の分析を進め、クラブが小学校と連携を図るうえで、子どもや保護者との信頼関係を損なわないことを前提に、学校・学区を単位として継続的活動を行いながら、クラブから小学校に近づき、小学校の期待に応えるようにしていくことが重要であること等を明らかにした。 上記に加え、過年度の研究成果(学校・学区を単位として学齢期児童とその保護者に対する子ども・子育て支援事業を展開している意義と実態)を冊子化し、全都道府県の子ども・子育て支援事業担当課あてに送付すると同時に、とくに放課後児童支援員等の専門性向上に資する知見がまとめられているかについてフィードバックを求めた。12都道府県から回答があり、1件を除いて、放課後児童支援員等の人材育成に資するものとして評価がなされた。具体的に役に立ちそうな部分を自由記述方式で回答を求めたところ、大きくわけて、連携に対して評価をしているものと、支援員のあり方に対して評価をしているものにわかれた。前者については、小学校との連携を進める上での実践上あるいは実施体制上のポイントが示されていることや、小学校と連携をする意義あるいは学校・学区を単位として考える意義について言及していること、後者については、子どものことをよく知ることが大事だということ、これからの支援員に求められる立場や役割に言及していることが肯定的に評価される部分としてあげられていた。 研究期間中は予期せぬ制度改正や社会状況の変化等があり、当初の計画通りに進行しない部分もあったが、放課後児童クラブのような地域資源の支援力向上によって、虐待予防を含む肌理細やかな子ども・子育て支援が展開しうることを明らかにできた。ただし、そのための人材確保の具体的方策についてはさらなる知見を積み重ねる必要がある。
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