研究課題/領域番号 |
17K04271
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研究機関 | 福山平成大学 |
研究代表者 |
岡部 真智子 福山平成大学, 福祉健康学部, 准教授 (80460591)
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研究分担者 |
児玉 善郎 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (80243327)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 居住支援 / 居住支援協議会 / 連携 / 住宅セーフティネット法 / 住宅政策 / 社会福祉政策 |
研究実績の概要 |
本研究では,居住地域包括ケアシステム推進下において居所が定まらず,居住の場が不安定な高齢者(不安定居住高齢者)への居住支援に着目し,①不安定居住高齢者に対する相談機関等による居住支援の実際,②居住支援団体に対する自治体からの支援や連携の実際と意向,③これまでの医療・社会福祉・住宅政策が不安定居住高齢者に及ぼす影響の3点を明らかにすることを目的とした。 平成29年度は当初の計画の通り,①居住支援協議会(69箇所)へのアンケート調査,②不安定居住高齢者の居住支援に取組む団体の抽出,③高齢者居住に影響する医療・社会福祉・住宅政策にかかる文献,資料の収集の3つの取組みを行った。①居住支援協議会へのアンケート調査は,当初61箇所の予定であったが,平成29年10月末時点で,全国には69の居住支援協議会があったため,全ての協議会に対して実施した。その結果は,2018年度日本建築学会の大会で発表,地域ケアリング2018年7月号に投稿する予定である。②不安定居住高齢者の居住支援に取組む団体の抽出では,文献,資料の収集から,豊島区,神奈川県,川崎市,京都市,神戸市,鳥取県,福岡市,大牟田市の居住支援協議会,北海道本別町地域善隣事業,埼玉県住宅ソーシャルワーク事業,横浜市民間住宅あんしん入居制度,Osakaあんしん住まい推進協議会の活動を把握できた。また,①のアンケートより,複数の取組で興味深い活動を把握できた。両者を検討して,今後,平成30年度に予定している聞き取り調査の対象地域を決定する。③国立国会図書館にて,高齢者居住に影響する医療政策,社会福祉政策,住宅政策に係る文献や資料(220本ほど)を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画はおおむね順調に進展している。 ①当初,居住支援協議会(61か所),低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業を行っている自治体(8か所)を対象にアンケート調査を行う予定であったが,居住支援協議会が69か所に増えたため,居住支援協議会の悉皆調査を行った。 ②不安定居住高齢者の居住支援に取組む団体の抽出については,アンケート調査の結果からの抽出,取り組みに関する既存資料の収集を行った。具体的な抽出は,平成30年度に実施する。 ③高齢者居住に影響する医療・社会福祉・住宅政策にかかる文献,資料の収集については,国立国会図書館を中心に220本ほど資料を収集した。今後内容の精査・検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更はない。 平成30年度は,2つの取組を行う予定である。1)高齢者の居住支援に取組む団体・自治体への聞き取り調査:居住支援協議会のアンケート回答団体,抽出した不安定居住高齢者への居住支援に取組む団体(3団体程度)のうち,自治体からの支援や協力を得ている団体(8団体程度)を訪問し,活動の内容や自治体との関係について聞き取り調査を行う。当初の計画では,居住支援活動を行う団体と自治体それぞれに調査を行う予定であったが,自治体が居住支援を行っているケースもあることから,あわせて(場合によっては個別に)聞き取り調査を行うこととする。2)医療・社会福祉・住宅政策における高齢者居住の影響にかかる分析:①収集した文献・資料から,これまでの医療政策・社会福祉政策・住宅政策から不安定居住高齢者にかかる内容を整理,分析し,今日の不安定居住高齢者に及ぼした影響を分析する。②現在市町村や都道府県で策定されている医療計画や介護保険事業計画,住生活基本計画から,不安定居住高齢者に対する各自治体の取組み内容や居住支援の意向について分析する。
平成31年度は3つの取組を行う予定である。1)調査結果を調査協力者にフィードバックし,新たな示唆を得るための聞き取り調査:聞き取り調査を行った居住支援団体や自治体担当者を訪問し,これまでの調査結果を提示し,居住支援の方策や,居住支援団体と自治体間の連携・協力にかかる意見を収集する。あわせて,医療計画や介護保険事業計画,住宅生活基本計画の分析から得た知見を自治体担当者に提示し,意見を収集する。2)メゾレベル,マクロレベルの居住支援方策の検討:居住支援団体や自治体担当者への調査,医療・社会福祉・住宅政策の検討を踏まえ,不安定居住高齢者への包括的な居住支援方策を検討する。3)研究成果報告書の作成:これまでの研究成果を踏まえ,報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していたパソコンよりも、安価なパソコンを購入したことや、国立国会図書館に資料収集する日程を1回分に抑えたため、次年度使用額が生じた。
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