【最終年度に実施した研究の成果】研究代表者は「居住支援協議会 調査ワーキング」のメンバーとして、メンバーとともに数回の協議を重ね「居住支援協議会設立・運営の手引き」を作成した。本手引きは、今後居住支援協議会の立ち上げを考える団体にとって具体的情報が示された参考となる資料である。また、ある自治体で行われた居住支援セミナーのグループワークで出された居住支援ニーズを分析し、論文「A市における居住支援ニーズに関する研究―居住支援セミナーにおける参加者意見の分析からー」にまとめた。また、これまでの4年間に科研として取り組んだ研究の成果を報告集としてまとめた。 【研究期間全体を通じた研究の成果】本研究では、地域包括ケアシステム推進下において居所が定まらず、居住の場が不安定な高齢者(不安定居住高齢者)への居住支援に着目して、①不安定居住高齢者に対する相談機関等による居住支援の実際、②居住支援団体に対する自治体からのしえにゃ連携の実際と意向、③これまでの医療・社会福祉・住宅政策が不安定居住高齢者に及ぼす影響の3点を明らかにすることを目的とした。 これまでに、平成29年度に全国69か所の居住支援協議会へのアンケート調査、平成30年度、令和元年度に高齢者や住宅確保要配慮者への支援を行う団体や自治体への聞き取り踏査を11か所に実施した。また、令和元年には居住支援の実践や政策立案にかかわった有識者との意見交換を行い、住まい確保の課題や居住支援の実際や課題について明らかにした。以上の取組みを、研究の成果として報告集としてまとめた。 現在、厚生労働省、国土交通省が連携しながら居住支援の取組みを進めている。4年の研究期間の間にも、居住支援を広げるための新しい取り組みが行われ、地域におけるニーズも顕在化するようになった。本研究で明らかになった点は、今後の居住支援において示唆を与えるものになったと考える。
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