研究課題/領域番号 |
17K04273
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
岡本 祥浩 中京大学, 総合政策学部, 教授 (70211810)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 居住リスク / ライフコース / 住居の道筋 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ライフコースや住居の道筋の中で居住喪失リスクを増大させている出来事を明らかにすること、そのメカニズムを明らかにすること、その出来事がライフコース上のどこに位置づけられるかを明らかにすることである。 居住支援団体への聞取り調査や相談記録を分析することで、メンタル面での問題や加齢が生活の脆弱性を構築していることが明らかになった。これまでの生活を支えていた同居家族、就労、住居を支えていた建物などの喪失などが生活の脆弱性を顕在化させた。 同居家族が賃貸住宅の契約者であったり主な稼ぎ手であった場合、同居者を失うことで居住の権利を失ったり、住居費などを賄えずに住居を失ったりする。また、生活を支えていた親が亡くなった場合に当事者がメンタル面の問題を抱えていた場合にはたちまち生活を営むことが難しくなる。持ち家の場合には問題を顕在化させない手立てが見つかる可能性があるが、賃貸住宅の場合にはそれも困難な場合が多い。就労を失う原因は病気や怪我などの他に加齢による定年退職による失職がある。定年退職までに居住資産を形成しておれば良いが、寮や社宅で暮らし続けていた場合に失職とともに生活の場を失ってしまう。また、集合住宅の竣工とともに住み続ける者も少なからずいるが、築後40~50年以上を経過した建物を建て直す場合に居住者の中に70~80歳の高齢者を抱える場合があり、その場合には転居が困難である。生活保護の受給を最期のセーフティネットととらえられているが、生活保護受給前の収入による家賃水準の居住継続が認められなかったり、世帯規模の減少による受給額の減少が転居を余儀なくする。DVを避けるための転居が増加する傾向にある。福島原発事故避難者の支援期限が居住を不安定にした例もある。最期に、メンタル面の問題を抱えている者にとって住居を見つけることは大きな困難を伴い、住居を維持することが重要になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
居住支援を実施している団体への聞取り調査はほぼ予定通りに進んでいるものの、当事者への聞取り調査は、当事者の承諾を得ることなどの問題から当初の予定通りのスケジュールでは進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
当事者への聞取り調査を本年の夏期及び冬期(2020年当初を含む)に実施する予定である。引き続き、居住支援を実施している団体への聞取り調査は適宜日程調整を行いながら実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当事者への聞取り調査を実施・終了すること及び居住支援団体への聞取り調査の実施を終了できなかったために次年度使用額が生じた。 両調査を計画的に実施することで本年度内に調査を終了させる。
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