今日,保健・医療・福祉専門職の質保証が課題となっている。また,世界的な教育改革の中でアクティブラーニング(Active Learning:主体的、対話的で深い学び)が学校教育に導入されたが,その意義は十分に浸透しておらず,教育方法の模索も続いている。そこで本研究では「福祉教育におけるアクティブラーニングのプログラム開発とレリバンスの解明」に関する実証研究に取り組んだ。その研究成果は以下の通りである。 研究の最終年度では,研究代表が進めてきた保健・医療・福祉専門職を志す学生のアクティブラーニングのプログラム化とそれによって学生が獲得するレリバンス(Relevance:目的と内容・結果の整合性,意義,関連性)を総合的に検討した。 その結果,プログラムは3段階から構成された。①オリエンテーションとシラバスでシステム構築された『アカウンタビリティー(accountability:説明責任)によるオープニング』,②アクティブラーニングプログラムを学生と教師が創ることによる『アクティブラーニングでエンパワメント』,③地域で出会った多様な価値の先へ『つながり・深まるクロージング』がレリバンスに寄与するとの知見を得た。アクティブラーニングを導入したこれらの授業実践および実証研究には,学会活動や授業改善に向けた教職員のFD・SD研修・実践交流の成果が寄与しており,教育と研究の相互作用の重要性が示唆された。 今後の課題は,実証研究を通したプログラム開発と評価の構造化,ティーチングポートフォリオ(Teaching Portfolio:教育達成記録)を用いた授業改善の継続,ワークショップ型アクティブラーニング研修会を開催して,本研究成果の発信と汎用化を進めることである。
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