研究課題/領域番号 |
17K04277
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研究機関 | 名古屋産業大学 |
研究代表者 |
丸岡 稔典 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 特任講師 (20455380)
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研究分担者 |
我澤 賢之 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害福祉研究部, 主任研究官 (90360685)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 障害者総合支援法 / 介護保険 / 高齢障害者 / 障害福祉サービス / 自立支援給付 |
研究実績の概要 |
本研究では、高齢障害者への介護保険制度適用の実態に焦点を当て、障害福祉制度として実施される自立支援給付と介護保険制度として実施されるサービスの比較分析をおこなう。その結果をもとに障害者を対象とする福祉制度と高齢者を対象とする福祉制度の重なる高齢障害者の福祉制度の運用と設計の課題を明らかにし、併せて両制度の特色ならびにその背景にある考え方を解明する。 今年度は、昨年度に引き続き制度運用側の自立支援給付と介護保険制度への認識ならびに運用状況を把握するため、昨年度実施した地方自治体の介護保険担当部局と更生相談所へ調査票調査の結果を分析した。結果、65歳以上の高齢障害者に対し、補装具による車椅子・電動車椅子が一定数給付されており、並びに継続して自立支援給付による障害福祉サービスを利用している、または介護保険サービスと障害福祉サービスを併用している高齢障害者がいる自治体が一定数存在していることが明らかとなり、必ずしも介護保険制度が優先適用されているわけではないことが示唆された。 続いて、利用者側である在宅高齢障害者の介護保険への移行プロセスならびに、自立支援給付と介護保険利用の実態を把握するために、頸髄損傷者連絡会や自立生活センターに協力を依頼し、国立障害者リハビリテーションセンターの倫理審査を受けたうえ、65歳以上の高齢障害者を対象に調査票調査を実施し、現在のサービス利用状況、65歳前後のサービス内容及び自己負担額の変化などを訪ねた。調査結果は現在分析中である。 また、日本と諸外国の高齢障害者向け制度の比較を行うために、年齢で区切らず税方式でサービスを提供する国としてスウェーデンを、年齢で区切らず保険方式でサービスを提供する国として中華人民共和国青島市を選定し、実際に現地を訪問して聞き取り調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
65歳以上の高齢障害者を対象とした調査票調査の実施と回収に時間を要したため、調査結果の分析が終了できていない。 研究代表者の諸事情により海外調査が完了できていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年までに実施した調査結果の分析を進め、研究成果を統合する。 まず、スウェーデンならびに中華人民共和国の在宅高齢障害者を対象とした福祉制度の調査・分析を継続し、日本の制度との比較を行い、日本の制度の特色を把握する。また、制度運用側である地方自治体の介護保険担当部局と更生相談所へ調査票調査結果の分析を進め、現状における高齢障害者向け福祉制度の課題を明らかにする。また、これらの結果から我が国の障害福祉制度ならびに介護保険制度の特色ならびにその制度を支える固有の原理を考察する。続いて、利用者側である在宅高齢障害者への調査票調査の結果の分析を進める。具体的には65 歳以前の自立支援給付または障害福祉サービスの利用状況と65 歳以後の介護保険適用に伴う自立支援給付と介護保険のサービス利用の変化(サービス量、内容、自己負担額)の実態から自立支援給付と介護保険の利用の諸課題を明らかにする。また、介護保険適用状況、自立支援給付における要支援区分と介護保険制度の要介護度の関係を分析し、両制度の特色と背景にある考え方を明らかにする。あわせて、自立支援給付と介護保険制度の両サービスを提供している事業所数か所を対象に、両サービスの実施状況と、その違いについて聞き取り調査を実施し、現状を把握する。 最期に、研究成果をまとめ、障害者総合支援法による自立支援給付と介護保険の整合性を検討し、高齢者・障害者の社会参加を支えるための福祉政策の望ましい方向性についての提案することで、高齢者・障害者の社会参加を支えるための福祉政策立案・制度運用に貢献する。また、障害福祉制度ならびに介護保険制度の特色ならびにその制度を支える固有の原理を解明する。 併せて、これらの研究成果を学術雑誌や学会で公表し、関係者と意見交換する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の都合により海外調査が延期になったため。
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