研究課題/領域番号 |
17K04277
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研究機関 | 名古屋産業大学 |
研究代表者 |
丸岡 稔典 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 特任講師 (20455380)
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研究分担者 |
我澤 賢之 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害福祉研究部, 主任研究官 (90360685)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢障害者 / 介護保険 / 障害福祉 / 重度訪問介護 / 居宅介護 |
研究実績の概要 |
行政側からみた介護保険優先原則の課題を明らかにするために,引き続き全国の自治体を対象にした制度適用の実態調査の分析を進めた.その結果,介護保険サービスで代替不可能性な障害福祉サービス内容等の両サービス質的違いに議論を深めていくことが課題となっていた. また,高齢障害者の側からみた介護保険優先原則の課題を明らかにするために,引き続き高齢障害者を対象にしたサービスの利用状況に関する調査の分析を進めた.その結果,障害福祉サービスのうち,長時間総合的な介護を受ける重度訪問介護は身体介護や家事援助などの限定的な介護を受ける居宅介護に比べ,介護保険サービスの利用が適さない人のニーズを含むサービス内容である可能性が示唆された. さらに,我が国の障害福祉制度ならびに介護保険制度の特色を考察するために,年齢による区分なく社会保険方式でサービスを提供している中国青島市の介護保険制度の分析をおこなった.結果,青島市で実施されている介護保険制度と日本の介護保険制度を比較すると,共通点として1)保険で給付の7割から9割を賄い,一部利用者の自己負担があること,2)一般要介護者と分けて認知症患者への対応をおこなっていること,が挙げられた.相違点としては,1)青島市の制度は財源が医療保険であり,加入者も医療保険加入者となっているが,日本の制度では介護保険と健康保険が別々に存在し,医療保険加入者と介護保険加入者も同じでないこと,2)加入する保険の種類や自己負担額によって受けられるサービスが異なっていること,3)青島市の制度は16歳以上の全年齢を対象としているのに対し,日本の制度は65歳以降の高齢者を主な対象としていること,が挙げられた.青島市の介護保険制度は財源や加入者が医療保険と結びついていることに加えて,サービス内容も医療に近接する領域を含んでいることで,全年齢層を対象とすることになっていると推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、当初実施していた海外調査を実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の拡大についての状況を勘案しつつ、可能であれば海外の介護保険制度と障害福祉制度についての現地調査を実施する。困難であれば、文献調査に切り替えて、海外の介護保険制度と障害福祉制度の関係を調査する。 また、障害福祉制度によるサービスの独自性についての分析、考察を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大のため、海外での現地調査ができなかったため。
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