研究課題/領域番号 |
17K04279
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
朴 光駿 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (30351307)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 東アジア / 高齢者介護 / 比較研究 / 市場化政策 |
研究実績の概要 |
2019年度は高齢者介護に対する市場化政策の影響、とくに貧困層に対する影響について、韓国と中国での現地調査を実施し、研究中間報告会と研究総括のための国際シンポジウムを開催し、研究報告を行った。 中国での現地調査は2019年9月19日~20日、主に貧困層の介護問題に関する聞き取り調査を、研究者、介護福祉施設長、福祉公務員を対象に実施した。韓国での現地調査は9月5日~6日に行われた。中国での研究報告会は2020年1月8日に中国延辺大学で行われた。参加した11名の関連研究者と意見交換を行い、高齢者貧困資料も収集した。 貧困問題に関する日韓比較研究者との意見交換会を2019年6月2日佛教大学で行った。韓国保健社会研究院の貧困及び高齢者介護関連研究者4名と、日本の関連研究者など19名が参加して行われた。とくに日本の生活保護における扶養義務者規定の撤廃の可能性について意見聴取を行い、関連資料も収集した。 研究総括のための国際公開シンポジウムを実施した。12月15日佛教大学常照ホールで開催し、中国研究者5名の報告、韓国研究者3名の報告、日本研究者5名の報告が行われ、情報交換も行われた。本研究の海外研究協力者も全員(4名)参加し、それぞれ次のような報告を行った。① 李仁子(中国・延辺大学)「孝文化の変化と家庭養老支援政策の考察」、② 王偉(中国社会科学院)「社会保障の視点から見る中国の貧困脱却政策」、③呉英蘭(韓国・慶南科学技術大学)「韓国家族計画政策は家族主義をどのように活用したのか」、④魯大明(韓国・保健社会研究院)「韓国高齢者貧困政策の実態と課題」。研究責任者も家族主義の起源に関する報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は計画通りに実施された。2020年2月~3月に、韓国の海外研究協力者と研究結果報告に関する打ち合わせを行い、研究調査コーディネータに対する謝金を支払し、研究を終了する予定であったが、新型コロナの問題で、出国ができなくなり、実施できていない状況である。これ以外に、当初の研究計画の中で実行できていないのはなく、研究結果報告のための協議ができれば、研究は完了する。
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今後の研究の推進方策 |
社会政策分野における市場化政策が特に高齢者介護に与えた影響については、地域的格差という観点から引き続き研究を行い、研究の完成度が確保された段階で公表を検討する。 研究結果は、学術の面と社会への発信という2つの側面から共有していきたいと思っている。報告者が主に活動している「東アジア社会保障フォーラム」と社会政策学会を通して研究結果報告を行う計画を持っている。2020年8月末に日本開催を予定していた第15回東アジア社会保障フォーラムはコロナの問題で延期になっているが、次回の会議において報告を行う予定である。 佛教大学の四条センターで行われている市民講座を通して、研究結果を社会に発信することも、研究計画当初から予定されていたが、現在は市民講座そのものが休止になっており、当分の間は実行できないが、状況をみながら実施を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2月~3月に、韓国の海外研究協力者と研究結果報告のための打ち合わせを行い、謝金を支払う予定であったが、新型コロナの問題で、海外出張ができなくなり、出張及び謝金支払の実行ができていないためである。海外出張が可能になり、出張を行えるようになると、研究費は全額使用することになる。
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