研究課題/領域番号 |
17K04280
|
研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
武内 一 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (30552806)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 子どもの貧困 / ケイパビリティー / 3か国比較研究 / 社会小児科学 / 質問紙調査 |
研究実績の概要 |
帰国後となった2018年4月から2019年3月までは、ウメオ大学医学部 疫学とグローバル・ヘルス学科のAnneli Ivarsson教授およびイギリス、ダービー大学社会学部Sung- Hee Lee講師の2名とともに研究を進めながら、2019年度実施予定の「子育て世代の生活実情調査」への準備を行ってきた。 研究課題に関してのこの1年間の進展状況は、国際社会小児科学小児保健学会(9月)に参加し今回の研究にかかわる演題を発表するなど、国際学会1つ、招待講演を含めて全国学会3つおよび地方学会5つにおいて研究成果を発表してきた。さらに研究成果を英文論文にて公開する準備を進め、現在一つ目の論文に関してIvarsson教授による最終校閲の段階にきている。 また、新たに行っている国際比較研究「子どもの貧困と政策 対応に関する4カ国比較研究 -日本、スウェーデンそしてイギリス)」に関しては、上記2名の協力研究者と共にSkypeによる議論を通じて英文論文化に向けて骨子を作り、 研究に用いられる鍵となる言葉の概念の整理、3か国の統計データの整理などを進めている。 もう一つの研究課題である、全国の医療機関とつながりのある家族を対象とした「子育て世代の生活実情調査」の実施に関しては、国際比較可能な項目に関して質問形式による調査なのだが、この 1年間でその質問紙の質問内容の検討を重ねその作成を終えた。元々2018年度中の調査実施を計画していたが、調査の周知徹底など実施に向けての条件整備が必要で、次年度2019年度6月実施に時期を変更し、その実現に向けて計画を修正し進めてきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文化の作業だが、一つ目の英文論文に関してはすでに草稿は書けているのだが、海外の協力研究者の多忙な状況から、論文化が遅れている。 全国の医療機関とつながりのある家族を対象とした「子育て世代の生活実情調査」の実施を今年度内で予定していたが、複数機関での倫理審査の必要性や調査の周知徹底など実施に向けての条件整備が予想外に時間を要したため、やむを得ず年度内実施の計画を次年度に延期した。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、ほぼすでに出来上がっている最初の大きな研究成果となる英文論文を、査読雑誌に投稿しその公開を2019年度中に実現する。また、2017年度の海外研究期間中に骨子を作成し、2018年度で内容を具体化してきている「A comparative study on child poverty and the policy responses in four different countries - Japan, Sweden and UK (子どもの貧困と政策対応に関する3カ国比較研究 -日本、スウェーデンそしてイギリス)」に関しても早急に英文論文として完成させ、2019年度中にこれら2本の英文論文を完成させたいと考えている。そのために、海外の研究協力者とのSkypeによる話し合いをより頻回に行っていく。さらに2019年6月には全国規模での大掛かりな「子育て世代の生活実情調査」を成功させ、数万家族の生活実情に関する情報収拾から家族の抱える社会で支えるべき課題を明確化させ、必要とされる政策の展開を3か国比較検討の結果も踏まえながら論考し、全体としては2019年度末までに、社会変革への糸口となる政策の在り方での提案ができるような科学性のある理論体系に仕上げ、日本語の論文としても公表していきたいと考えている。そうした取り組みを通じて、今回の研究資金を社会にとって意味のある有意義な成果に生かしきりたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外研究協力者との打ち合わせのための交通費が、予定していた費用を少しずつ下回ったことが原因となっている。
|