研究実績の概要 |
二つの研究テーマの一つである国際比較研究「子どもの貧困と政策 対応に関する3カ国比較研究 -日本、スウェーデンそしてイギリス)-」に関しては、引き続き、ウメオ大学医学部疫学とグローバル・ヘルス学科のAnneli Ivarsson教授およびイギリス、ダービー大学社会学部Sung-Hee Lee講師の2名とともに研究を進め、論文化に向けての話し合いを継続している。3か国比較に用いる統計データの適否の判断、及びそうしたデータにつながる政策の違いと、それらの事実がどのように子どもたちのケイパビリティーの最適化と結びつくのかに対しての3人による詰めの作業が現在も継続中で、2019年度内での論文としての投稿には至っていない。2020年度も引き続きSkypeを用いて3名での話し合いを重ね、2020年度中の投稿が実現するよう最大限努力したい。 もう一つの柱である「子育て世代の生活実情調査」は、当初計画していた紙媒体を用いた調査の依頼とデータの依頼という考え方を改め、新たに情報の提供をポスターやチラシに合わせて、電子媒体も利用し、また回収はスマートフォンのアプリを用いる電子化によって行った。この方法によって、予算面の制約が緩和され、より大規模に調査が実施できた。実際の調査は2019年6月から7月にかけ全国規模で実施され、全国45都道府県から2,518回答を得た。有効回答総数は2,398で、共通項目、3歳から就学前、小中学校、小学校5年生以上の本人の4つの回答部分各々とそれらの関連に関して、すでに相対的貧困世帯と非貧困世帯の対比における分析を完了し、その他の側面からの結果の分析に関して、現在も継続して取り組んでいる。当初は、最初の学会での発表の場を2020年3月に予定されていた近畿小児科学会を予定していたが、学会がキャンセルになりその後の公表の場が未定のまま現在に至っている。
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