本研究は 政治の「機会主義化」が定着するなか、日本と韓国の女性、障害者、高齢者等の社会的弱者の就労を支援する事業型NPOの経営に焦点を当てた。新型コロナの影響により前年度に引き続き本年度の前半も遠方への出張の制約があったため、研究計画を一部変更した。当初想定していたNPOの近接領域も射程に入れながら、研究代表者、分担者とも研究を進めた。 研究代表者は研究期間中、外部環境の変容のなかでNPOの組織基盤強化が求められているという視点で研究を進めてきた。(前年度の大会に引き続き)日本NPO学会第25回研究大会において、 「NPOの組織基盤強化」に関するテーマで学会発表を行った。今回はNPOの組織基盤強化に取り組んだNPOリーダーと共に「NPOの組織基盤強化の20年―Panasonic NPOサポートファンドの成果の検証―」として報告した。これら学会でNPOの組織基盤強化やコンサルティングをテーマにした学会発表は稀で、独自の視点から研究成果を報告することができた。また招待講演「2022日韓市民100人未来対話」(韓国国際交流財団主催)では日本の環境NGO及び雇用創出の動向について報告した。上記の研究も踏まえて、論文として「韓国における雇用・福祉政策と市民社会─社会的経済の定着過程─(上)及び(下)」を公表した。 研究分担者は研究期間中、社会的弱者を支援する福祉実践家に着目し、昨年度に『社会を変える〈よりそう支援〉 地域福祉実践における省察的実践の構造分析』(晃洋書房)を公刊したが、本年度もそれを踏まえて地域福祉の視点から研究を進めた。
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