研究全般にわたって、研究分担者2名および、研究協力者である反社会的行動を伴う障がい者の支援研究会、地域生活支援研究会等の協力を得て遂行した。 まず、性加害行為のあった知的障害者(以下、当事者)および当事者の支援者へのインタビュー調査を継続して実施した。また、海外調査から得られた知見について、研究分担者を中心にまとめ、日本における支援へ導入する方法について検討した。 当事者へのインタビュー調査および海外調査について、司法福祉学会第20回全国大会において分科会を企画し、成果公表を行った。そこでは、当事者の地域生活を福祉がどのように支えることができるのかをテーマに、日本における福祉施設での取り組み、当事者が社会や他者との関係性を再構築するための支援プロセス、ニュージーランドおよびオーストラリアで行われている治療教育プログラムや支援者支援の枠組みについて提示した。また、龍谷大学矯正・保護総合センター研究年報第9号へ論文を投稿した。ここでは、Good Way Modelの現地調査から、実践に関する概要をまとめ、日本における活用の可能性について提示した。 その他、司法・福祉関係者への研修会において、調査研究の成果をもとに、当事者の地域生活支援におけるニーズの見立て、接近目標および回避目標に関するアセスメント、両目標を共に達成するための支援の要点について提示した。 加えて、研究期間全体の成果として報告書およびリーフレットを作成した。報告書では、研究概要の他、当事者および当事者の支援者へのインタビュー調査結果から、相互のかかわりの中で展開する地域生活の継続プロセスについて提示した。また、Good Way Modelの概要について提示した。リーフレットでは、広く福祉関係者が支援に活用できるよう、知的障害者による性加害行為の理解および福祉施設等における支援上のポイントを簡潔にまとめた。
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