研究課題/領域番号 |
17K04284
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
大野 まどか 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (00340886)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | HIV/AIDS / HIV陽性者 / 高齢期 / 医療福祉 |
研究実績の概要 |
本研究は、医療福祉分野におけるHIV感染者(本研究ではHIV陽性者と呼ぶ)を対象とする。HIV感染症への治療が進歩したことによりHIV陽性者の高齢化という新たな課題が出現している。感染症という疾患の特性とHIV陽性の約7割が男性同性愛者であるという現状を踏まえて、HIV陽性者の福祉サービス利用における課題とHIV陽性者自身が高齢期の生活にどのようなニーズを持っているのかを明らかにし、HIV陽性者への高齢期の生活支援のあり方を検討することを本研究の目的としている。 これまでに、予定していたインタビュー調査の実施とそのデータ分析を行い、大阪人間科学大学紀要の論文投稿を行った。この分析において、福祉サービスへのニーズ以前にそもそも福祉サービスに対し、拒否的であることが示唆された。追加のデータ収集のためのインタビュー調査が必要と考え予定したが、インタビュー対象者の体調不良のため実施が出来なくなっている。インタビューデータが当初計画より少ないことから、小規模データの深い分析に有効であるSCAT(Steps for Coding and Theorization)を適用した。 2020年においては、コロナ感染症が拡大したが、HIV感染症は免疫機能に関連のある疾患であり、その懸念からHIV陽性者のインタビューへの協力を得るこが困難となっている。さらにそもそもの調査対象者の秘匿性が高く、また人数も多くないことも相まって研究に遅れが生じていている。今後、継続して調査対象者を拡大していくことを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
調査対象者の秘匿性が高いこと、想定対象者の病状変化などからインタビュー調査に遅れが生じている。加えて、2020年からのコロナ感染症拡大の影響を強く受けている。HIV陽性者は免疫機能への懸念が強く、感染症拡大下において対面インタビューを行うことに同意を得ることが難しく、インタビュー実施が困難となっている状況がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者を継続して探索し、インタビュー調査を実施する。それらの結果をこれまでのインタビュー結果分析と統合していく予定である。研究結果を学会・論文発表を行なう。感染状況により対面インタビューが難しい場合には、オンラインでのインタビューも検討してるが、非常にデリケートな情報を含むインタビューであり、オンラインでのデータ収集には懸念も伴っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1にコロナウィルス感染拡大のため、調査対象者との対面でのインタビュー調査実施が困難となってしまったことがある。加えて、調査対象者の事情(体調)により調査の実施が延期されていること、調査対象者が謝金の受け取りをされず(報酬なしでの研究協力)、謝金の使用が計画より少なくなったこと、研究代表者の業務状況から研究遂行に遅れが生じていること等から次年度使用額が発生している。 次年度では、研究進捗の遅れを取り戻すように進めていき、計画的な研究費の使用に努めたい。
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