研究課題/領域番号 |
17K04285
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
中川 千恵美 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (30280035)
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研究分担者 |
中島 尚美 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 特任准教授 (00510174)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 児童虐待発生予防 / 母子保健との連携 / 子育て世代包括支援センター / 継続した養育体制 / 親性準備性 |
研究実績の概要 |
今年度は第一に、児童虐待発生予防の観点から施策化されている子育て世代包括支援センター(以下センターと略す)で、モデルとなる社会福祉士が母子保健と連携を進めている自治体実践の社会福祉士の役割に着眼し、研究を深めた。 先進自治体におけるセンターでの社会福祉士の役割について、厚生労働省自治体事例集や文献等の先行研究を行い、日本子ども虐待防止学術集会(Jaspcan)いしかわ金沢大会(11月)で、口頭発表を行った。 第二に、地域子育て支援拠点活動を実践する子育てNPO(tpeeティピ― 高槻市)が母子保健と連携実践した事業報告書の評価を行った。当該NPOは、地域の妊娠期からの切れ目ない支援の実践を母子保健と連携して実施している。また2020年12月から乳児家庭全戸訪問事業の実施者として行政から委託を受ける等、地域の子育てNPOとして、信頼を得て、評価され社会資源となり、連携を進めている。さらに、地域で生活する乳幼児と家庭の細かなニーズキャッチを、担当者の異動も無く地域に存続する民間団体だからこそ、可能としている点も、非常に重要である。 第三に、センターでの母子保健型の展開と共に、政策として重視されている基本型利用者支援専門員(大阪府下の名称であるが、子育て支援員研修)に関する研修を、オンデマンドの遠隔形式であったが、実施した。利用者支援事業の基本型を実施する利用者支援専門員を増員し、人材の質を高める事が、センターでの母子保健担当保健師との連携を機能させることに寄与する。 妊娠期からの切れ目ない包括的な養育体制構築に向けた連携に関して、今年度は、社会福祉士の専門職間の連携の傾向と民間団体の連携構築実例、そして今後重視される利用者支援専門員の人材養成に着手した。母子保健との連携の現状と、今後有機的に機能する連携を検証する基礎を固める成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本務校での国家試験対策業務に多くの時間を要した事と、左右の膝が変形膝関節炎となり、身体面の不調が重なり遅れが生じた。 加えて、親性準備性を促進する連携指標等を明らかする為に、母子保健と連携を推進する自治体や民間施設へのヒアリング調査を進める予定であったが、新型コロナ感染拡大防止の為にその実施ができず、研究が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
親性準備性を促進する連携指標や「健全育成」や「社会的養護」とした分類ではなく、地域における全ての子どもとその家庭のニーズを把握し、継続した家庭養育を推進するための、有機的な連携について検討する。 その為に、大学研究倫理委員会で承認された母子保健と連携を推進する自治体や民間施設へのヒアリング調査を進める。ヒアリングガイドを送付も含め、効率的にオンラインでのインタビューも検討する。その成果を冊子やリーフレットに作成し、最終年の報告書として、まとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、コロナ禍のため、ヒアリング調査に必要な旅費等の支出が生じなかった。またオンラインでの参加で、旅費が必要とならなかった。 次年度には、ヒアリング調査のための謝金や旅費として、また成果報告の旅費と冊子や報告書印刷となるその他費として使用予定である。
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