研究課題/領域番号 |
17K04287
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
大西 雅裕 神戸女子大学, 文学部, 教授 (60257805)
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研究分担者 |
流石 智子 京都華頂大学, 現代家政学部現代家政学科, 教授 (40132287)
浦田 雅夫 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (40462022)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 母子家庭 / 生活状況 / 生活上の困りごと / ヒアリング調査 / 母子関係(親子関係) |
研究実績の概要 |
本研究は母子家庭において生じる生活上の諸問題を取り上げ、子どもや女性の“貧困問題”に焦点をあてつつ母子家庭のwell-being(より良い生活)をめざす新たな政策展開を構想するための実証的研究の3年目である。 本年度は①昨年度に実施したアンケート調査(628件)に基づき、返却があった389件のアンケート調査についてデータ分析を現段階において鋭意でデータ分析を実施している。②返却されたアンケート389名の内ヒアリング調査にご協力できると言われた方147名の内から当初の計画通り、各ブロックからランダムに合計26名の方を選出し、2019年5月よりヒアリング調査の実施に向けてメールによる調査依頼を始めた。しかしながらヒアリング調査の依頼を承諾していただくことは、個人的なこともお聞きすることからスムーズな返信いただけず、複数回の依頼メールをさせていただいいた。また直接電話をさせていただいた方もおられた。最終的には21名の方と連絡することができヒアリング調査へと繋がった。 また本年年末に全国母子寡婦福祉団体協議会のご協力により、沖縄県母子寡婦福祉連合会様への訪問調査ができ、グループ、個別の面接を実施することができ、貴重な調査をすることができた。 地域の社会資源である施設であるうるま市のみどり町児童センターや一般社団法人カナカナへの調査訪問を実施することができた。この訪問は母子家庭に特化した「母子家庭総合支援サービスセンター」(仮称)構想とって非常に興味深い社会資源であった。本研究ではこの構想を児童館等に設けるという仮説であるが、現状の児童館の役割等についての調査が、まだ不十分である。その他の地域社会資源の検討もまだこれからであり、今後、研究を継続する。今後既存の社会資源のうち、この構想に適している施設等訪問、それらの施設の諸機能分析調査を実施しなければならないと考える
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は母子家庭において生じる子育てにまつわる諸問題を取り上げ、今日の「子どもや女性の“貧困問題”」に焦点をあてつつ、母子家庭のwell-being(より良い生活)をめざす新たな政策展開を構想するための実証的研究である。具体的には地域の拠点としての「母子家庭総合支援サービスセンター(仮称)」構想を構築することである。そのために「子どもの生活」と「母親との関わり」や「生活上の困りごと」に焦点を当て、母子家庭での生活実態に対するアンケート調査、ヒアリング調査等を活用した実証的研究を行ってきている。 本研究の全体的スケジュールとしては、おおむね順調であるといえる。平成29年度の予備調査を実施、平成30年度に全国アンケート調査(628件)を実施し、389件のご回答を得ることができた。その中でヒアリング調査にご協力を承諾いただいた約140件より各ブロックからランダムに選出し最終的には21人の方へのヒアリング調査を行うことができた。 また年末に沖縄県母子寡婦福祉連合会を訪問し、ヒアリング調査等を行うことができた。母子家庭数の割合が高いとされる沖縄県の実情を調査できたことは本研究にとって貴重であった。「母子家庭総合支援センター」構想の構築として諸地域社会資源の実践事例を検証研究している。まずは、施設が相互に連携をしている京都市ひとり親家庭支援センター及び葵児童館を訪問し、母親・子どもの生活上の諸問題について調査を行った。年末沖縄県への訪問でうるま市みどり町児童センター及び南風原町一般社団法人「カナカナ」へ母子家庭の現状とそこでの生活上の諸課題を明らかにするために訪問調査を実施した。 シンポジュウム形式で、京都市ひとり親家庭支援センター青山事務局長、葵児童館渡邊館長、京都市児童館連盟國重氏による、研究会を実施し、各施設の現状と合わせて、相互連携による施設の家庭支援を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、以下の二点について鋭意研究を進める。 第一として平成29年度に行ったアンケート調査の単純集計及びクロス集計を行い、母子家庭の現在抱える生活上のニーズや生活課題についての分析調査を行う。その上でヒアリング調査で得られた課題ニーズについて分析研究を実施する。これらの分析研究によって現在の母子家庭における母親、子どもの抱える生活上の諸問題の分析やニーズ把握を行う。 第二に、母子家庭の母親が、利用しやすい「母子家庭総合支援センター」構想は、沖縄県での事例、京都での事例等の事例研究を通して、母子家庭総合支援センターの機能構築についての実践研究を行うこととする。また、母子生活支援施設の機能、役割についてもこの構想の実現の可能性を踏まえた資源としての再検証が必要である。今年度も継続して、沖縄県母子寡婦福祉連合会、うるま市児童センター等関連施設への訪問調査を予定する。 その上で、共同研究者である流石智子教授が研究者代表である科学研究費 基盤研究(C)「母子家庭の介護実態調査から探る介護支援の構築」科研番号(c18K02053)に研究協力者として、大西、浦田が参加し、本研究との共通性を見出した中での協力体制を組んでいく方向を進める。共通する交互の支援課題を共有化し、今後ライフサイクル、ライフステージごとに母子家庭が抱える生活諸課題について実践研究を協働したスタンスで連携を図っていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度予算執行にともなって、旅費において各地域において、中国、四国への出張予定が共同研究者が担当することとなり、取り消しとなったために、そのほか近畿圏の地元である兵庫県等での聞き取り調査に変わったために、旅費支出の側面で予算執行が当初計画と変更となったこと。物品費支出があるかと当初予定していたが、執行額がゼロとなったことにより、繰り越し金が発生した。 令和2年度が最終年度となることから、今まで、アンケート調査、ヒアリング調査や書記官訪問によって得た情報等の分析研究を実施予定であり、成果物の作成費用に充当する計画である。
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