研究課題/領域番号 |
17K04292
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
矢原 隆行 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (60333267)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リフレクティング / 多職種協働 / アクションリサーチ / 臨床社会学 / リフレクティング・トーク / リフレクティング・プロセス |
研究実績の概要 |
本研究は、地域における包括的ケアの実現に向け、ますますその必要性が高まる多職種協働を有効に促進するための画期的方法として「リフレクティング」を用いたプログラムの実践研究をおこなうことを目的とする。具体的には、ノルウェーの臨床家トム・アンデルセンによって提唱されて以来、世界各地で広く活用されているリフレクティング・プロセスについて、福祉・医療の現場をフィールドに長期的な参加型アクションリサーチを実施することで、その効果と禁忌を臨床福祉社会学の視座から明らかにするとともに、多職種協働のためのリフレクティング・プログラムを構築する。 今年度は、多職種協働とリフレクティングに関する国内外の先行研究を幅広く収集し、その文献研究をおこなうとともに、これまでに培った内外の研究者・実践者のネットワークを駆使して直接的な情報収集をおこなった。4月には、リフレクティング・プロセスの影響を受けるフィンランドの多職種連携のための対話実践の創始者の研修に同行するなど、関連情報の収集も行った。8月から9月にかけては、リフレクティング・プロセス発祥の地であるノルウェーのトロムソで開催された国際会議に参加し、各地の研究・実践の最新状況について、北欧を中心とした欧米圏の研究者・実践者らと情報交換するとともに、トロムソ大学にて、国内では入手困難な資料収集を行った。同時に北欧の刑事司法領域におけるリフレクティング実践のフィールドワークも行った。一方、平成30年度より、参加型アクションリサーチを通したリフレクティングの有効性の検証をおこなうため、熊本県内の医療法人との研究協力関係を構築した。これらの成果の一部は、国内の研究会や学会誌で報告している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リフレクティング・プロセスに関する国内外の研究成果の収集・整理は順調に進んでいる。リフレクティング誕生の地であるノルウェー訪問は、国際会議への参加のため、計画よりも前倒しで実施したが、そのことにより、日本で入手困難な情報収集を着実に進めることができた。協働的アクションリサーチの連携先についても、研究代表者の本務校の異動があり、新たなフィールドの調整に努力を要したが、確保することができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究プロジェクトの中軸をなす福祉・医療現場における参加型アクションリサーチの詳細な手順について現場との協働による計画立案をおこなう。そのため、医療・福祉・心理の専門職による研究会を組織し、予備調査を実施、研究・教育・実践のサイクルを進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、海外出張を当初の計画を早めて実施したため、追加で必要と想定された予算額300000円を前倒し申請したが、その分が一部あまったため、次年度使用となった。
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