研究課題/領域番号 |
17K04294
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
山本 佳代子 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (00364125)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 保育士 / 保育ソーシャルワーク / コンピテンシー / 福祉的課題 / 親子支援 |
研究実績の概要 |
保育所では障害、虐待、貧困、ひとり親家庭等、多様な特性と福祉的課題を有する子どもや保護者に対する保育士の対応が深刻な課題となっている。特別な配慮や福祉的な配慮を要する子どもや保護者のニーズに応え、子どもの成長発達を支えるためには、保育現場においてソーシャルワークの技能、知識や行動等のコンピテンシーを身に付けた保育士養成が不可欠である。そこで本研究は、福祉的課題をもつ子どもとその保護者への支援に対する保育士のソーシャルワークコンピテンシーを見出し、その育成要因を明らかにすることを目的とし、1.保育士対象調査から実態を明らかにする、2.保育士のソーシャルワークコンピテンシーを析出し、コンピテンシー育成に求められる諸要因を明確にする。
平成29年度(研究1年目)においては、質問紙調査票の作成のため、20年以上の保育実践と管理職の従事経験をもつ保育士を対象に、福祉的課題をもつ親子の実態と支援に関し、インタビュー調査を行った。 収集されたデータの一部を質的記述的に分析した結果、保育所における福祉的課題として4カテゴリー15コードが、福祉的課題に対する支援として7カテゴリー22コードが抽出された。また、福祉的課題として示された問題に対し、保育士は現場での豊富な実践経験をもとに対応しており、課題解決に際してソーシャルワーク的な手法を用い支援を行っていることが明らかになった。 上記の結果と先行研究等をふまえ質問紙を完成させ、平成30年度に質問紙調査を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度(研究1年目)は、質問紙調査項目を完成させる予定であったが、本研究テーマについては研究蓄積が少ないことから、文献・データ収集等に時間を要した。一方で、キャリア保育士へのインタビュー調査を実施することができ、保育士のソーシャルワークコンピテンシーに関する調査項目を作成するための必要データを得ることができた。 これらの成果をふまえ、次年度当初にはアンケート調査の質問項目を完成させ、調査実施に至る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成30年度:福祉的課題をもつ親子に対する保育士の支援実態と育成要因に関する質問紙(無記名・自記式。郵送法)による調査を行う。対象はA県下の保育所に勤務する保育士とし、各施設より保育経験年数の異なる3 名に回答を依頼する。上記結果の統計解析を行った後、調査結果の妥当性の確認および結果の精錬のため、研究協力者から意見を聴収し、先行研究と比較し、結果を分析する。
2.平成31年度:調査結果の分析、保育士のソーシャルワークコンピテンシーの析出、育成要因の明確化、成果物の作成・発送を行う。 (1)平成29年度、30年度の研究で得られた結果から、保育士の福祉的課題をもつ親子に対する支援実態と育成要因等について明らかにする。 (2)研究成果の検討の過程においても、研究協力者から意見を聴収する。 (3)研究成果を報告書としてまとめ、調査対象施設へ送付する。また、学術雑誌や学術集会等で結果を公表し、社会へ発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、①インタビュー調査を年度末に開始したことにより、テープおこし等の支払いが4月に入って行うこととなった、②当初予定の質問紙調査が年度内に実施できなかったためである。
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