研究実績の概要 |
保育所では障害、虐待、貧困、ひとり親家庭等、多様な特性と福祉的課題を有する子どもや保護者に対する保育士の対応が深刻な課題となっている。特別な配慮や福祉的な配慮を要する子どもや保護者のニーズに応え、子どもの成長発達を支えるためには、保育現場においてソーシャルワークの技能、知識や行動等のコンピテンシーを身に付けた保育士養成が不可欠である。本研究は福祉的課題を持つ子どもとその保護者への支援に対する保育士のソーシャルワークコンピテンシーを析出し、その育成要因を明らかにすることを目的とし以下の研究を行った。 平成29年度は、保育士として20年以上のキャリアと管理職の従事経験をもつ保育士を対象に、福祉的課題をもつ親子の実態と支援に関するインタビュー調査を行った。質的分析の結果、保育士は現場での豊富な実践経験をもとに対応しており、課題解決に際してソーシャルワーク手法を用い支援を行っていることが明らかになった。 平成30年度は、前年度の調査から得られたデータおよび先行研究をふまえ、保育士のソーシャルワークコンピテンシーに関する調査票を作成し、質問紙による調査(無記名・自記式。郵送法)を行った。対象は、無作為抽出した認可保育所(1,000施設)に勤務する保育士であり、1対象施設につき可能な限り経験年数が異なる3名の保育士に回答を依頼した。 最終年度の令和1年度は調査結果の解析を行い、福祉的課題を持つ親子への支援に対する保育士のソーシャルワークコンピテンシーとして7項目を析出した。
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