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2019 年度 実績報告書

団塊ジュニア世代老後生計費モデル-年金制度の公私役割分担の研究-

研究課題

研究課題/領域番号 17K04303
研究機関国立社会保障・人口問題研究所

研究代表者

山本 克也  国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障基礎理論研究部, 部長

研究期間 (年度) 2017 – 2019
キーワード社会保障・社会福祉政策
研究実績の概要

団塊ジュニア世代の老後生計費を、保険数理モデル、マイクロシミュレーションを利用し、ミクロの家計分析(正規・非正規別、単身、夫婦等の世帯類型別)とマクロの制度持続可能性判別分析を同時に実施した。団塊ジュニア世代の年金受給開始時期は2036年で、団塊世代の先頭が89歳になり、医療・介護費用が最も高いと予想される時期と重なる。公的年金給付から見れば、マクロ経済スライドが発動し続けている時期と重なり(2014年公的年金財政検証結果)、基礎年金の給付水準は現在の約7割程度になると予想されている。先進諸国の公的年金制度は、低所得者に重きを置くよう舵を切り始めている。こうした動きを政策変数とし、持続可能な年金制度改革案及び医療・介護制度改革案を模索した。研究結果をまとめると、次のようになる。
まず団塊ジュニア世代という近い将来の被用者年金受給者について、医療・介護費を考慮した老後生計費モデルを作成し、その年金受給開始後の家計収支を見た結果、試算した年金の受給を繰り下げられれば、65歳以上の“赤字”をある程度できることが明らかになった。なお、基礎年金のみを受給せざるを得ない国民年金の受給者の貧困リスクは高く、基礎年金の減額は生活保護を前提とした老後生計費設計というサインを国民一般に出すことになることが明らかになった。
またマイクロシミュレーションモデルにより、団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニア世代が65歳以上の年齢になる2041年・2046年・2051年・2056年における年齢別の厚生年金受給額を見ると、平均的に見て、これらの世代の年金額は、若干ではあるが他の世代よりも低めであり、また給付水準を50万円ごとに区切り、その分布を見ると、男性については団塊ジュニア世代よりも前の世代と比較すると、年金額は低い方向に偏る傾向があることが明らかになった。生計費との比較を行うと、老後の基礎的消費のみをまかなうだけであれば、基礎年金でも可能であるが、基礎的消費を超える水準の消費を目指すのであれば、正規雇用者の平均的な賃金・年金に近い水準が必要であることが明らかになった。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 人口減少社会における働き方改革2019

    • 著者名/発表者名
      石田成則
    • 雑誌名

      週刊社会保障

      巻: No.3011(2019年2月25日号) ページ: 44-47

  • [雑誌論文] 大阪の都市貧困問題とその対応策の検討2019

    • 著者名/発表者名
      石田成則
    • 雑誌名

      セミナー年報2018

      巻: 2019年3月31日号 ページ: 33-49

  • [雑誌論文] 就職氷河期世代・非正規職の老後生計費に関する一考察2019

    • 著者名/発表者名
      山本克也
    • 雑誌名

      日本年金学会誌

      巻: 38 ページ: 76-83

  • [雑誌論文] 年金給付水準の低下と要介護高齢者の生活困窮2019

    • 著者名/発表者名
      山本克也
    • 雑誌名

      貧困研究

      号: 23 ページ: 23-32

  • [雑誌論文] 就職氷河期世代の老後生計費に関する予想2019

    • 著者名/発表者名
      山本克也
    • 雑誌名

      月刊『企業年金』

      巻: 2019年6月号 ページ: 22-23

  • [雑誌論文] 長寿を“寿(ことぶき)”にするための老後の備え2019

    • 著者名/発表者名
      山本克也
    • 雑誌名

      統計

      巻: 2019年9月号 ページ: 26-33

  • [雑誌論文] 基礎年金水準調整分と生活扶助基準の低下の高齢被保護世帯に対する効果分析2018

    • 著者名/発表者名
      山本克也
    • 雑誌名

      年金と経済

      巻: 37 号: 3 ページ: 41-49

  • [雑誌論文] 働き方改革と公私年金制度2018

    • 著者名/発表者名
      石田成則
    • 雑誌名

      年金情報

      巻: No.775(9月3日号) ページ: 20-20

  • [学会発表] マイクロシミュレーションを用いた団塊ジュニア世代・ポスト団塊ジュニア世代の老後生計費に関する一試算2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤格・山本克也
    • 学会等名
      生活経済学会
  • [学会発表] Ideal Community Networks for Vulnerable Group during Disaster2018

    • 著者名/発表者名
      Shigenori, Ishida
    • 学会等名
      2018 Joint APRIA-IRFRC Conference
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] How to expand the pension system -from the view point of pension adequacy-2018

    • 著者名/発表者名
      Katsuya Yamamoto
    • 学会等名
      Korea OECD Policy Center
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 団塊ジュニアの老後生計費に関する一考察2018

    • 著者名/発表者名
      山本克也
    • 学会等名
      日本年金学会

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公開日: 2023-03-30  

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