研究課題/領域番号 |
17K04304
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
島田 千穂 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30383110)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 事前の意思表明 / エンドオブライフケア |
研究実績の概要 |
認知症高齢者が生活及び医療に関する意思を表明支援するツールの検討と現状分析を行った。既存の研究を整理し、認知症高齢者に適した意思表明ツールとして、侵襲性が小さいとされるカード式の手法に着目した。人生の最期までをいかに過ごすかという重大なテーマについて、遊びの要素を取り入れることによって取り組みやすく工夫されている。日本においては、カード式の手法の多くが専門職対象の教育として実践されており、高齢者を対象とした研究の蓄積は少ない。そこで、本研究ではまず、認知症高齢者に先立ち、一般の高齢者を対象としてカードを用いたワークショップを実施し、その心理的影響と終末期に向けたコミュニケーション行動への影響を調査することから始めることとし、次年度の計画を立案した。 また、認知症高齢者に長期に関わる専門職として、ケアマネジャーの終末期に関する事前準備への関与の特徴の分析を行った。最期を迎えたい場所の希望について会話したことがある利用者の割合(6:8割以上-1:全くなし)を、終末期の準備支援への関与の程度の指標として用いた。4都県のケアマネジャー3,320名のうち、最期を迎えたい場所の希望についての会話は、担当利用者数の2割以下で実施と回答したのが38.6%であった。会話する程度は、経験年数が長く、看取り担当件数が多く、看取り担当意欲が高いと大きかった。地域間にも有意差があった。基礎資格は有意でなかった。利用者特性との関連もみられ、訪問診療利用者、看取り期の利用者が多いほど、本人との最期を迎えたい場所の希望についての会話をしていた。ケアマネジャーの終末期の事前準備への関与は個人差が大きく、看取りケア経験が、事前準備への関与を高める可能性が示唆された。終末期の事前準備について早期からの関わりが求められる、認知症高齢者を対象としたケアマネジメント方法論の確立が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
認知症高齢者への介入を1年延期し、その準備に向けた研究協力機関の募集を次年度行う。理由は、計画上で研究協力機関と想定していた認知症疾患医療センターに対する事前のヒアリングにおいて、十分な確保が困難と判明し、計画を変更する必要があるためである。居宅介護支援事業所を協力機関として想定して計画を変更するとともに、認知症疾患医療センターに通院する認知症高齢者については、インタビュー調査に計画を変更する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力機関の十分な確保が困難で計画を変更するため、進行がやや遅れている。居宅介護支援事業所を協力機関として想定して計画を進めるとともに、認知症疾患医療センターについては、インタビュー調査に計画を変更する予定である。 居宅介護支援事業所については、今年度からターミナルケアマネジメント加算が新設されたこともあり、看取りへの関心が高まっている。これまでの研究ネットワークもあり、計画遂行の実現性が高い。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度計画していた実態把握調査を実施することができなかったため。次年度調査費として用いる。
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