研究課題/領域番号 |
17K04308
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
清水 由紀 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30377006)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 対人認知 / 比較文化 / 自動的過程 / 特性推論 |
研究実績の概要 |
刺激作成のための予備調査,および実験プロトコル作成のための予備実験を実施した。さらに前倒しで,本実験を日米双方で開始した。 1)予備調査・予備実験の実施:誤再認パラダイムにより,自発的特性・状況推論の同時生起を測定する。そのために必要な刺激文を作成するため,第1段階の予備調査をアメリカ人・日本人大学生を対象に実施した。特性と状況のいずれも暗示する行動刺激文を顔写真と共に73文提示し,各分から推論される特性と状況を3つずつ記述してもらった。さらに,各文の望ましさ評定を行ってもらった。最終的に,記述された特性もしくは状況の参加者間一致率が高かった40文を本実験用の刺激文として選定した。 2) 本実験の実施:誤再認パラダイムを用いた本実験を開始した。個別にノートパソコンを用いて実施した。刺激提示はMediaLabにより行い,誤再認およびRTを測定した。まず接触課題において,行動記述文と顔写真および状況写真を提示し,その間アイトラッカーにより各参加者の注視行動を測定した。短期記憶を減じることを目的としたディストラクター課題(アナグラム課題)をはさみ,再認課題において顔写真と特性語もしくは状況語をペアで提示した。顔写真は接触課題と対応しており,参加者は,提示された単語が先ほど同じ写真とペアになっていた行動記述文の中にあったかなかったかを判定するよう求められた。 なお計画段階では,アメリカ人と日本人の2群の比較をする予定であったが,先行研究(e.g., Na & Kitayama, 2011)においてアメリカ人の人種間の差異も報告されていることから,ヨーロッパ系アメリカ人,アジア系アメリカ人,日本人の3群を比較することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H29年度は刺激作成のための予備調査,および実験プロトコル作成のための予備実験の実施までを計画していたが,本実験の実施を開始することができた。理由としては,研究代表者自身が年度いっぱいまでニューヨーク大学心理学部に客員研究員として滞在し,共同研究者のJim Uleman氏やリサーチアシスタントとディスカッションしながら進められたことが挙げられる。またニューヨーク大学でのIRB申請・承認の手続きも予想以上にスムーズに進み,参加者プールの使用も認められたため,前倒しで進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本実験のデータとして必要なNがまだ収集されていないため,日本とアメリカにおいて引き続き実験を継続する。ニューヨーク大学でのデータ収集は,共同研究者のUleman氏およびリサーチアシスタントと連絡を取りながら進める。また研究代表者がニューヨーク大学を訪問し,プロジェクトの進捗について確認すると共に,今後の計画についてディスカッションする。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究先のニューヨーク大学の実験設備を一部使用することができ,予定よりも物品費の支出が少なくなったため。
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