研究課題/領域番号 |
17K04314
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
五十嵐 祐 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (90547837)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社会的ネットワーク / 実行機能 |
研究実績の概要 |
本年度はコロナ禍の影響で、対面での調査告知や実施が困難となり、予定していた縦断調査を行うことができなかった。また、大学での実験実施も困難となったため、オンラインで実施可能な実験の形態および手続きについて検討を行った。特に大人数が同時に参加する実験では、実装を適切に行う必要があることが判明したため、そのための準備を行った。日本社会心理学会では、実行機能と社会的ネットワークの様態との関連についての発表を行い、課題の切り替え能力とオンラインの社会的ネットワークにおけるコミュニティの所属数との関連を検討した。分析の結果、年齢、性別、外向性、神経症傾向といった個人差要因を統制しても、課題の切り替え能力が、オンラインの社会的ネットワークにおける三者以上のコミュニティの所属数と正の関連を示すことが明らかとなった。こうしたパターンは、ワーキングメモリや抑制といった実行機能の他の要素ではみられず、異なるコミュニティに埋め込まれた多様な資源へのアクセスは、課題の切り替え能力に固有にみられる可能性が示された。切り替え能力を測定する課題としては、一般的な数字-文字課題を用いたが、探索的に開発した社会的なドメインでの切り替え能力の測定課題が、コミュニティの所属数をよりよく予測する可能性も示唆された。ただし、この課題はサンプルに固有の社会的文脈の影響を受けやすく、異なるサンプルへの適用が難しいため、さらなる改良の必要性も示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で実験や調査が予定通りに実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、コロナ禍で対面での実験や調査の実施に困難が予想されるため、オンラインでの効果的な研究実施の方策について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で海外出張がキャンセルとなり、対面での実験実施・縦断調査の実施ができなかったため。データ収集のための謝金に充てる予定である。
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