研究課題/領域番号 |
17K04314
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
五十嵐 祐 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (90547837)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 実行機能 / 社会的ネットワーク / コミュニティ |
研究実績の概要 |
本年度は、実行機能とコミュニティサイズとの関連をより大規模なサンプルで検証するため、クラウドソーシングサービスのサンプルを対象に調査を行った。一般化線形モデルによる分析の結果、ソーシャルメディア上で参加者が所属するコミュニティ数が多い場合にのみ、アクティブに参加しているコミュニティ数と、ルール切り替え能力との間に正の関連が見られた。この結果は、パーソナリティやセルフモニタリング、個人属性といった要因を統制した場合も同様であり、当初の予測を支持する結果が得られた。ただし、データセットによっては、課題切り替え能力とアクティブなネットワークサイズ(友人数)が正の関連を示すという傾向や、所属コミュニティ数にかかわらず、ルール切り替え能力がアクティブに参加しているコミュニティ数と正の関連を示すという傾向がみられた。これらのことは、ルール切り替え能力に基づくコミュニティへの所属が、社会的環境による制約や二者関係からの発展など、複合的なプロセスを通じて達成されることを示唆するものである。ただし、アクティブに参加しているコミュニティ数、アクティブなネットワークサイズとも、ゼロであると報告した参加者が比較的多くみられた。ソーシャルメディアの利用度は、あくまでも現実のコミュニティや社会的ネットワークの様態に関する近似的な指標であることを留意の上、得られた知見の一般化可能性については慎重に解釈する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模サンプルでの検証を行うことができ、一定の成果は達成できている。ただし、相互作用実験の実装と実施については、さらなる準備が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
実行機能とルールの異なるコミュニティへの参入傾向の関連を検討するため、ボットあるいは他者との相互作用を含む実験を実装し、オンラインでの実施を行う。分量の関係で、ネットワークやコミュニティの測定フェーズと実験の実施フェーズを分けて行う可能性が高く、実施手順の工夫が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験実施のフェーズが後ろ倒しになったため、次年度使用額として申請を行った。対人あるいはボットとの相互作用実験における謝金及びシステム利用料として使用予定である。
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