研究課題/領域番号 |
17K04319
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研究機関 | 福島学院大学 |
研究代表者 |
内藤 哲雄 福島学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20172249)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 異文化間コミュニケーション / 地位 / 性 / PAC分析 / 事例研究 / クラスター分析 / 了解的解釈 / 現象学的データ解釈技法 |
研究実績の概要 |
平成29年度は研究の開始年度であり、国際学会大会に参加し研究関連情報を収集するとともに、調査研究で用いる連想刺激文を完成し、調査研究を実施して、その成果を平成30年度開催の海外学会及び国際学会大会での発表に応募することを目指した。 情報収集のために参加した国際学会大会は、①オランダのアムステルダムで7月11日~14日に開催された第15回ヨーロッパ心理学会議EFPA2017、②ニュージーランドのオークランドにあるMassey University Albany Campusで8月26日~28日に開催された第12回アジア社会心理学会AASP2017、③ベトナムのハノイでのベトナム国家大学ハノイで11月28日~12月1日に開催された国際応用心理学会後援の心理学地域会議(RCP2017) である。いずれの大会においても、異文化間コミュニケーション及び地位と性がコミュニケーションに及ぼす影響についての多くの情報を得ることができた。とくにベトナムでは51もの多くの民族が暮らしており、異文化コミュニケーションが重要な課題であることを知らされた。また、ベトナムや同じく多民族国家であるミャンマーの研究者との共同研究の可能性があることが示唆された。 他方で、次年度に国際学会で発表するために実施した調査研究の成果については、USAのサンフランシスコで2018年8月9日~12日に開催されるアメリカ心理学会(APA2018)に応募し、受理された。申請したSessionはDivision52で、発表予定日時は8月11日午前10時からである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始の初年度に3カ所の国際学会大会に参加し、アジアやヨーロッパの研究者と情報交換することで、異文化理解、異文化コミュニケーションの研究が民族間の相互理解や国際平和に貢献すること、地位と性による違いの研究有効性が確認された。また、筆者のこれまでに採択され、継続してきた異文化間人間関係、異文化間言語コミュニケ-ション、異文化間非言語コミュニケーションの一連の科学研究費補助金での研究成果の発表を、長期間にわたって国内外で繰り返すことで、異文化コミュニケーションにおいてPAC分析による事例研究での質的分析法が有効であることが承認されてきたと言えよう。 また、次年度の2018年度のサンフランシスコでのアメリカ心理学会大会において、異文化コミュニケーションにおける地位と性の影響についてのスリランカを対象とした研究成果で応募し、審査の結果受理されたことは、その研究技法であるPAC分析によって得られた成果であることもまた、審査委員によって受理されたことを意味する。その意味で順調な目標達成成果を得ることができたとみなせる。 他方で、「おおむね」との限定がついたのは、調査データの収集を精力的に進めることができなったことで、文化間の差異を検討するには不十分であったことの自省によるものである。順調に進んでいるとの実感は、これまでの幾つもの科学研究費補助金による研究実施の体験により、今後の研究成果蓄積が期待できるからである。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始の平成29年度末(平成30年3月31日)で福島学院大学福祉学部教授の任期が満了し、明治学院大学国際平和研究所研究員へと所属先と身分が変更となり、退職のための事務や教学の雑務や自宅住所の変更等での作業が続いたが、5月に入りようやく落ち着いてきている。 研究課題である「異文化間対人コミュニケーションの違和感と不適応:地位と性の影響」については、新たな所属先の「国際平和研究所」との親和性もあり、また勤務先に留学生がいなかった前任校とは異なり、在学生に留学生の多い「国際学部」もあることから、研究の継続に支障はない。また、身分が教授から研究員へと変わったことで、学生への授業や研究指導がないことから、調査旅行や国際学会大会への参加にも制約がほとんどない。 上記のような所属先と身分の変更によって、異文化間コミュニケーションへの地位と性の影響の研究を推進するに有利となった条件を積極的に活かすことを考えている。次年度と最終年度の2年間において、研究計画を変更する必要はない。予定通り推進可能である。さらに遠隔地での数週にわたる調査実施や国内外での研究発表を増加させることができる。これによって、調査への参加協力者の国や民族の多様性を増し、研究発表の機会を増加させることを考えている。また、国際学会大会での発表を交流の機会として、異文化間コミュニケーションに関心を持つ海外の研究者との共同研究を模索したい。
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