研究課題/領域番号 |
17K04319
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
内藤 哲雄 明治学院大学, 国際平和研究所, 研究員 (20172249)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 異文化間コミュニケーション / 地位 / 性 / PAC分析 / 事例研究 / クラスター分析 / 了解的解釈 / 現象学的データ解釈技法 |
研究実績の概要 |
2年目となる平成30年度は、スリランカ人を対象者として、平成29年度に実施したPAC分析による研究の成果を発表した。スリランカと異なり、日本での対人コミュニケーションでは、目上には尊敬語や丁寧語を多く用い、また男女で用いる言葉に違いがあり、女性から男性に対しては丁寧語を使うことが多いなど、対人コミュニケーションに地位と性の影響が強いことが明らかとなった。この研究成果は、USAカリフォルニア州サンフアンシスコで開催されたアメリカ心理学会(APA)2018で発表された。また、国内では、2018年12月に立命館大学朱雀キャンパスで開催されたPAC分析学会第12回大会において、組織内における日本人の対人コミュニケーションでは、地位の上下の間で、言語コミュニケーションだけでなく、非言語コミュニケ-ションにおいても違いが大きいことについて発表した。 次年度は、中国人留学生を対象として2018年度に実施した研究を、2018年12月と2019年1月に国際学会大会に投稿し、審査の結果受理されている。それらは、①2019年7月にロシアのモスクワで開催されるヨーロッパ心理学大会(ECP2019)で、②同じく2019年7月に台湾台北で開催されるアジア社会心理学会大会(AASP2019)で、③2019年8月にUSAイリノイ州シカゴで開催されるアメリカ心理学会大会(APA)2019で発表する。 以上の研究から、日本では対人コミュニケーションで地位と性の影響が大きく、国や民族によって地位と性の影響が異なることが示されてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始の初年度から国内学会だけでなく国際学会大会に参加し、アジアや欧米の研究者と情報交換し、異文化間対人コミュニケーションの研究が、異文化理解、民族間の相互理解や国際平和に貢献すること、地位と性の違いの研究の有効性が確認された。また、筆者のこれまでに採択され、継続してきた異文化間人間関係、異文化間言語異文化間コミュニケーション、異文化間非言語コミュニケーション、異文化間対人コミュニケーションの違和感と不適応:地位と性の影響の、一連の科学研究費補助金での研究成果の発表を、長期間にわたって国内外で繰り返すことで、異文化間コミュニケーションにおいてPAC分析が有効であることが確認されてきたといえよう。 また、本研究課題である「異文化間対人コミュニケーションの違和感と不適応:地位と性の影響」に関する研究成果が、アメリカ心理学会大会(APA2018, 2019)、ヨーロッパ心理学大会(ECP2019)、アジア社会心理学会大会(AASP2019)で審査の上受理されたことは、研究成果が順調に評価されていることを裏付けるものである。
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今後の研究の推進方策 |
これまで国際学会での発表も順調に進んでいるが、2019年度は最終年度でもあり、PAC分析の調査対象国を増加させることが望まれる。それらの成果を来年度の国内外の学会大会に投稿し、発表することを目指して、研究を推進する。
本研究課題終了後の来年度大会参加費、旅費、宿泊費等に対処することが必要となるが、何とか対処したい。
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