研究課題/領域番号 |
17K04325
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
笹尾 敏明 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10296791)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 外国人労働者 / ウェルビーイング / 多文化組織 / 文化の多層性 / 韓国人 / 中国人 / ブラジル日系人 |
研究実績の概要 |
外国人労働者を雇用する日本の職場組織への効果的な介入プログラムの開発・実施・評価を将来的な最終目標として、本年度の研究目的は、本研究の中核となる「文化の多層性」の概念化を目指した。当初は、量的調査に加え、質的調査を実習する予定であったが、研究者代表の個人的理由により時間の制限とキーインフォーマントの多数確保に困難があり、本年度は、外国人労働者を有する企業の日本人従業者に焦点をおき、非外国人労働者からの視点による「文化の多層性」の尺度作りの基盤を作った。主な業績は下記のとおりである。(1)関東地区、東海地区、北陸地区において、4箇所の企業から数名づつのキーインフォーマントを確保して2年目にむけて質的調査の打ち合わせを行った。(2)量的調査にむけて項目の作成と選定をおこなった。(3)既存の労働調査データの分析を行い、量的調査用紙の概略を作成した。(4)アメリカ(ニューヨーク)とインドネシア(マカサー)にて、上記のデータ分析の発表をおこない、現地での外国人労働者と非外国人労働者の状況について、数社の企業から聞き取りをした。(5)さらに、量的調査用紙の複数言語への翻訳を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の個人的理由(実家の父親の不幸)にて、2017年夏に予定していたパイロットデータの収集及びインタビュー、フォーカスグループは実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
「多層性文化尺度(仮題)」の作成を行い、外国人労働者を含む企業組織においてその項目分析を通して、信頼性・妥当性を検討する。さらに、質的データの分析をおこない、①外国人労働者用、②日本人労働者用、③管理者(上司)用の3種類の「多層性文化尺度」を作成する。その構成概念は、9側面(レべルとレべル間)を軸に構成され、それに基づき質問項目を作成する。尺度は英語で作成し、それをバックトランスレーション法(back-translation;Brislin, 1973)を用いて4ヶ国語(日本語、中国語、韓国語、ポルトガル語)に翻訳する。3種類の尺度作成に当たり、尺度間の比較検討をするために、共通項目も準備する。作成した全ての尺度の妥当性と信頼性は、日本企業3社の外国人労働者、日本人労働者(同僚)、及び管理者(上司)を対象にデータを収集し、項目分析を実施、基準関連妥当性(例文化適応、言語、上司関係)を検証する。加えて、当該企業周辺の一般地域住民を対象に、オンライン調査を実施し、企業組織に働く外国人労働者の受け入れ等についてデータを収集し、社会規範を理解した上で、「多層性文化尺度(仮題)」の最終項目を決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実行不可能であったプロジェクト項目を実施するため
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