研究実績の概要 |
最終年度となったため,これまでの研究の総括的な研究を行った.本申請課題は様々な媒体を介して得られる情報に対して人間がどのような価値づけを行うか,その情報に基づいてどのような行動を起こすのかを検討することを目的としており,その観点から新型コロナウィルスに対する判断と人間が得る情報との関係を,リスク認知における低頻度事象の過大評価.高頻度事象に対する過小評価(Lichitenstein et al, 1978)との関連で検討した.その結果,新型コロナウィルスの感染状況の判断が先行研究でみられたパターンと一致することを見出した.ただし,その感染状況に関する情報の統計的性質をwebを用いて検討し,その統計的性質と判断との関連を検討した結果,先行研究におけるリスク認知の利用可能性仮説(Lichitenstein et al, 1978; Tversky & Kahneman, 1974)がこのコロナウィルスに対するリスク認知とは整合しないことが明らかになった.この一連の研究成果は国内学会(中村,2021,認知科学会,日本心理学会),および国際学会(Nakamura, 2021, Psychonomic Society)で報告しており,現在論文化を目指して作業中である.
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